ちょっとだけ役立つ労務管理・人材育成

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人材育成の講師をやっていた社労士が、労務管理や人材育成について、今まで経験したエピソードや、ちょっと見つけた役立ちそうな情報を提供します

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厚生年金には「加給年金」という
家族手当みたいなものがあるのをご存知でしょうか。

これは
ある一定の条件を満たした受給権者に
65歳未満の配偶者
あるいは
18歳未満の子供
がいる場合に、老齢年金に加算されて支給されるものです。


では、この加給年金を詳しく見ていきます。

1.加算の条件(受給権者本人)

  ・厚生年金に240ヶ月以上加入していること
   (通算20年分厚生年金保険料を支払っていればOK)

  ※その他にも特例的な条件がありますが
   分かりやすくするため今回は省略します。


2.加算の時期

  ・厚生年金と基礎年金の両方が受給できるようになった時
   (基本65歳以降)

  ・特別支給の老齢年金で定額部分も支給されるようになった時
   (男性なら昭和24年4月1日以前に生まれた方
    女性なら昭和29年4月1日以前に生まれた方が対象)

3.加算の対象者

  ・加算時期になったときに、その人によって生計を維持していた
   次の人がいる場合に支給されます。

    ①65歳以下の配偶者
    ②18歳に達する日以後最初の3月31日までにある子
    ③障害等級1~2級の20歳未満の子

   ※配偶者が加入期間240ヶ月以上の老齢年金又は障害年金を
    既に受給している場合は、配偶者の加算は停止されます。


4.加算の金額

  ・配偶者・・・・・・年額224,500円
            (月額約18,708円)

  ・1~2人目の子・・年額 各224,500円
            (月額 各約18,708円)

  ・3人目以降の子・・年額 各74,800円
            (月額 各約6,333円)



以上が「加給年金」の基本的な条件と金額になります。


これは厚生年金に加入していなければ
もらえない加算給付ですので、
自営業者などの国民年金のみの加入者は
対象外になります。


厚生年金は保険料もそれなりの金額になりますが
他にも優遇されている面もありますよね。

例えば

保険料は労使折半(企業が半分支払う。その分企業負担が重い)

専業主婦などの配偶者は別途保険料を支払う必要はない

家族手当(加給年金)がもらえる場合がある


更に
厚生年金は報酬比例の年金ですので
給与が高ければ
保険料も高くなる代わりに
将来もらえる年金額も高くなります。

こう考えると
サラリーマンが以下に安定した労働者かということが
分かると思います。


話を「加給年金」に戻すと


配偶者の条件に「おや?」と思った方もいるのでは?


支給条件は、基本の考えだと
自分が65歳になった時に
65歳未満の配偶者がいる場合です。

ですので、
同じ年、誕生月まで一緒の妻だと
一緒に65歳になってしまいますので
家族手当はでません。

例えば
同じ給料、同じ加入期間のAさん、Bさんがいた場合

Aさんは10歳年下の妻がいます
Bさんは同じ誕生年月あるいは年上の妻がいます。

この場合、Bさんに加給年金は支給されません。
同じ保険料を払っていたにも関わらず
妻の年齢によってもらえなくなってしまうのです。

ちなみに
Aさんは妻が65歳になるまでの10年間、
加給年金をもらい続けることができます。


更に

妻が自分で240ヶ月以上の厚生年金加入期間があると
支給停止になります。

妻自信も頑張って20年間働いて
保険料も納めているともらえないのです。


これだけ働いていれば
妻自身も、相当の年金をもらえるのだから
手当は停止します
という考えなのでしょうが・・・・

確かに20年も働いていれば
加給年金額よりかなり高額の
年金がもらえるでしょう。

しかし
女性の活躍を推進し
子を養育している主婦の労働を後押ししている
この時代に
自分自身の年金があるから停止しますというのは
いかがなものかと首をかしげてしまいます。


加給年金は
妻が専業主婦だったため
妻自身の年金収入が少ないという方には
非常にありがたい制度です。

そして
義務化している国民年金、厚生年金というのは
若い世代を含め
みんなで支え合っていこうという
考えのもとにあるというのは納得しますよね。


ただ、

同じ保険料を支払っていたにもかかわらず
妻の年齢でもらえたり、もらえなかったり
という仕組みや

年金収入が少ない人の補助的な役割というのは
別に設けた方が納得感があるような気がします。


今、年金を受給している世代の方々は
やはり
女性の活躍する場というのが少なく
また専業主婦というのも
一般的だった時代ですので
この支給制度というのは
ある意味考えられていた制度だと思います。

しかし、
現在は専業主婦の割合も減ってきていますよね。

時代にあった改定も
今後行っていくことを期待したいですね。