今年の課内の歓迎会の幹事は、私が担当することとなった。私は酒が飲めないので、居酒屋は知らない。そこで例により、スマホで店を探した。「Aという店はどうか」と課内一の飲兵衛に尋ねたところ、「自分は行ったことはないけど、別の課の職員が行ったら、開店間際だったせいか『遅かった』と言っていた」と答えた。同時に、「でも、そこに決めていいよ」とも言われたので、「飲み放題つきで5000円以内にしたい」と予約し、一人当たり4500円の会費で歓迎会を行うこととなった。

さて、当日である。店に入り、歓迎会が始まった。個室がいい、というから個室にしたが、周りがうるさくて個室の意味がほとんど無かった。店のつくりは、安普請である。高級感がなかった。

みんな揃って、会が始まった。最初にテーブルの上には枝豆が乗っているだけで、メニューも置いてあった。最初に飲み物を注文したが、持ってくるのに時間がかかった。普通、もっと早く持ってくるだろう、と皆の表情からは読み取れた。言葉に出すものもいた。飲み物が出てから、食べ物が出てくるまでに時間がかかった。幹事として、廊下に出て給仕係を呼ぶが、「すみません、少々お待ちください」というばかり。私は比較的気は長いほうだと思っているが、幹事なので、仕方なくせっついた。それでも、なかなか出てこない。しばらくしてから、刺身が出てきた。

個室にはブザーがあり、押すとウエートレスがやってくる。ボタンを押した。普通の店ならば、どれほど遅くても1分以内に駆けつけるだろう。1分でも長いぐらいである。しかし、5分経っても10分経っても係が来ない。廊下をばたばた走り回る音は聞こえてくるものの、肝心の係のお姉さんは我々の個室にはやって来ない。

業を煮やした課の長老(56歳)が、「こんな店は初めてだ」とか「いい経験させてもらった」等々の嫌味を言い始めた。新しく異動してきた職員は「元をとった気がしない」と言った。幹事の私は、なぜか平身低頭せざるを得なかった。こんな場所だなんて知っていたら、連れてこないし。

アルバイトがお酒を持ってきた。彼女は何かを感じて、「絶対違う」と独り言を言った。それを見た36歳(♀)が、「従業員の指導がなってない」と一言漏らした。また、コースには入っていない串カツを2本間違えて置いて行った。

食べ物が出されたか否かを従業員に聞かれた。「○○○○(料理名)は、出ましたでしょうか?」普通、コース料理には、出す順番があって、その順番に出てくるんじゃないの?とも思った。出したらチェックするんじゃないの?最初に出るはずのサラダが、最後の方に出てきた。とにかく、課内の人は、ひどい居酒屋に怒りを通り越して呆れていた。

会計を済ませるときに私は、大沢あかね似のアルバイトに、「(料理・酒が出てくるのが)遅かったのは、うちだけじゃ、無いよね」と聞いた。すると「あるお客様は、メニューを投げつけてお帰りになられました」と答えた。それを聞いて、何だかアルバイトのお姉さんたちが、かわいそうに思えてきた。たぶん、アルバイトも懸命に働いているんだろう。しかし、経営者が人件費削減か何かで、人が足りなくて、このようなことになるのだろうと、勝手に想像した。「絶対違う」と言ったアルバイトは高校生ぐらいの年齢らしい。大沢あかねは、浪人生だと言っていた。「このような状態で、お金をいただくことはできない」とも言っていた。アルバイトも、思うところはあるのだろう。それより、浪人生がアルバイトしていていいのか?もっと勉強しなさい、と人事ながら、思ってしまった。

費用は、6人で24,000円。4500円で注文したはずだけど・・・と思って確認したら、4000円の費用で受けたらしい。最後の最後まで、驚かしてくれる店だ、と思った。大沢あかねは、「時間は(2時間だけど)好きなだけいてもいい」と言い、30分オーバーして店を出た。

次回の店の予約は、絶対に人の推薦する店にしようと心に固く誓った。