普段乗らない電車に乗ると、新鮮で、
落ち着いて乗ってはいられない。
前座席のサラリーマン。
ネクタイとシャツのコンビネーションまでもが、
新鮮に思えてくる。

意識を集中するなれば、
おばさまのよくわからない、編み模様の春ニットだとか、
もっこりした不思議なバックだとか
先が丸いのか四角いのか分からないパンプスだとか、
そこの分け目から、そこの髪の流れか。
あまり目にした事がないようなシルバーの眼鏡フレーム。
やけに艶のよいおでことスポーツバック。
冴えたオレンジ色のシューズは性格の象徴か。
とがった毛先を頭にミステリー小説を読書中、おそらくハイソな婦人。
どれも異様に思えてくる。

そういう、街の異なる臭いというか。
住んでいる人の何かが違うような違和感というか。
そもそも、何かが違うのかどうかも分からないのだけれど、
私の思い込みなのかもしれないのだけれど、

春というのは、
こういうよく分からぬ迷路に陥りやすし。