暖かくなり、
ありんこ達も大忙しらしい。
えいさ、えいさと、巣作りに励んでいる様子。

じいっとそれを眺めていると
みなさんよく働く、
身体の1/3はある小石を
巣穴から地上へ懸命に運んでいる。

そこでちょいと、
手伝ってみるかと、
棒でさくさくっと手を貸すと、
がささささ~
崩落して埋まってしまった。
『あ~これじゃあ大迷惑だなあ』
なんて考えながらも、なおも眺めていると、
何やらまた隙間をぬって、あり達は現れ、
えいさ、えいさと、崩落などなかったかのように、
また石を運び続ける。

何を考えているのか。
何か考えているのか。
プログラミングされたロボットのようにも見えなくもない。

もちろん、
こんなにどでかい私がずっと眺めている事などは
知る由もなく、
大崩落は私の仕業だという事は微塵もわかる訳はなく。
彼らはただ、彼らの営み行っているだけの事。

はたと、
人間もそのようなものかとも思えてくる。
大きな何かが自分たちを眺めている事も露知らず、
自分たちの世界だと思い込み、
戦争を繰り返し、
資本主義だのなんだのと、社会を営む。
せっせと、あくせく働いて、
それなりに懸命に生きる。

ありたちの世界ではありが中心であるように。
私たちの世界では人間が中心だと思っており、
ただ、おそらくいずれもそんな事はないという事。
そういう点では、人間もありとそう変わらないな。

そんな事を思いながら、
ありたちの仕事ぶりを眺めた春の午後。