私はと言えば、淡々と、仕事と自分の世界で生活をしていました。


そんなある日の話。
夏の甲子園に夢中だった私は、
大きなテレビをかかげ、
甲子園を放映するその定食屋に毎日足しげく通い、
日々の試合に一喜一憂しておりました。
まるこめ達の美しさに心を震わせ、
時には白飯の上に思わず涙だってこぼしてしまうのです。
汗にまみれて、まっすぐに、強く思い、励む姿のああなんと美しい事。

会社帰り、お腹を空かせた私はふらりと、とあるファーストフード店に入りました。
スポーツ新聞や雑誌なんかがフリーラックに置いてあり、
一面に駒大の田中君の事なんかが載ってます。
むっむっっっ!!
私は、すかさずそれを手にとります。
基本的には食事をしながら読み物はしないというポリシーを持っているのですが、
この日は、ええい。今日やいいやなんて食欲と甲子園熱に甘んじ、
○○チーズなんかをむしゃむしゃほうばりながら、
スポーツ新聞に熱中しておりました。
最高にかわいくない姿(笑)

しばらくすると、お向かいに座って何やら勉強していた青年がすたすたと。
すたすたと・・私の席に歩いてくるではありませんか。
ほっぺをふくらました私の前にすくっと立ち、
小さな紙をひらりと。

「こっこれ・・・」

そういうと、すたすたとレジに向かい何やら購入している。
ふうむ。
はて、この紙は一体なんだろうか。
レシートだ。
なになに?
裏に色々書いてある。
「突然ごめんなさい・・ほにゃらら、ほにゃらら、
もし迷惑でなければお知り合いになれたらうれしいです。
よかったらメール下さい・・ホニャホニャ。」

これはナンパなんだろうか。
彼の座っている席に目をやる。
一心に何かを読んでいるふりをしているクサイ模様。笑
なにやら顔が赤いぞ、青年よ。
目には目を、レシートにはレシートで?!(なんじゃそりゃ)
という事で、私だってすかさず自分のレシートにペンを走らせる。
「こんばんは。ほにゃらら、ほにゃらら、
ほにゃららほにゃらら、メールは出せないと思います。
田舎には気をつけて帰って下さい。では。」

そして、すっかり新聞も読み終え、お腹も満足した私は
レシート片手に彼の席へ。

「はい。これ。」

「えっ?」

彼はレシート返しを予期していなかったらしく、戸惑ッている様子。
少しは期待してしまっただろうか。

で、私はそのまま振り返りもせずに店を後にした次第。
自転車に乗りながら今さらながらちょっと驚く。
やーやー。驚いたよ。こっちまで恥ずかしくなっちゃうね。
夏ってのは予期せぬ事があるもんだ。


やーやー球児やら若い青年は熱い熱い。。。。笑


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