忘れないこと | ~資地計築~ 建築デザイン 木下 稔

忘れないこと

3日程前、1本の電話。

この会社を始めて間もない頃に、お家を建てさせていただいたお客様

I様の奥様がご病気で随分容態が悪いとのことでした。

「えー!」思わず電話口で大声を出してしまいました。

何故なら、奥様はまだ3~40歳ぐらいの若さのはずだからです。

子供さんもまだ小学校低学年

「医者も手の施しようがないので、現在自宅で療養している、木下君も一度顔出してあげてよ」

お電話をいただいたのは、このI様のお家を建てる件をご紹介くださった方でした。

I様ご夫婦はとても元気なご家族で、奥様はいつも元気で、おしゃれで、かっこいい方でした。

ご主人は建築系の専門学校でお仕事をされており、I様ご夫婦と二人三脚でお家を作ったことをよく覚えています。

「免疫療法か何かで自宅療養中。でも、見舞いに行って顔見たら涙が止まらなかった」そう電話で伺いました。

丁度、近くに行く用事もあり、同じくお世話になったミヨシ部長と一度顔を出そうと相談していた日

「木下君、Iさん所に行った?」

「いえ、まだ顔出せてませんが」

「奥さんな、今朝お亡くなりになった」

「…!」

昨夜、お通夜に伺いました。

奥様の人柄を表すように、溢れんばかりの人が弔問にこられてました。

誰もがすすり泣く中

押さえきれない思いでご主人が立っておられました。

奥様の最後のお顔を拝見したとき

もう、涙も嗚咽も押さえる事ができなくなりました。

眠るようにきれいなお顔で

あのおしゃれで元気な奥様のお顔でおられ

ご主人と抱き合いながら大声で泣きました。

ご主人に「あいつ、この家が大好きで、この家で逝けたのが、せめてでもよかった」

「久しぶりにお会いするのが、こんな形て…」もう、僕は泣き声で何を言っていたのか分からなかったかもしれません。

しばらく涙が止まりませんでした。

この会社が出来て

うまく行かないことが沢山あって

僕に何ができるか分からなくて

そんな中、このご夫婦と出会って

一生懸命やって

ひょっとしたら、まだまだ至らない点だらけだったかもしれなかったのに

沢山喜んで頂いて

あなたが居たから、今の僕があることを

これからも一生忘れません。

元気で明るく、おしゃれだったあの姿も

僕は忘れません。

安らかにおやすみください。

奥様

お疲れさまでした

そして

本当にありがとうございました。

木下 稔