「こんないい加減な対応では納得できん。もう、おたくとは取引をやめる!」
午後一番、女子社員にクレームをつける電話です。
お相手は、ある大手の会社の社員の方。
うちの社のサービス内容について、女子社員の説明に、ほんの少し、あいまいなところがあり、お客様は不信感を抱いた結果、半ば恫喝に近い言い方で、女子社員を一方的に追い込むように、さらに次の発言をされました。
「これから何をしてくれるのか、順番に説明しろ!」
これはいけないと即座に私が電話を代わり、お客様のお話を伺う事になりました。
最初は、警戒して静かな物言いでしたが、お客様のご要求が過大で、うちとしてはご対応しかねる内容でしたので、丁寧にそのことをご説明申し上げたのですが、徐々にヒートアップし、結局、またしても先程の取引をやめるという高圧的な発言で、電話を切られてしまいました。
女子社員は、お客様からの暴言によるショックで、真っ青な顔をしています。
私は、彼女を落ち着かせ、すぐさま営業担当者への報告とお客様の窓口部署への状況説明を行う事にしました。
場合によっては、お客様へ至急おわびに伺わなければならなくなるかもしれないと覚悟し、経過報告用の書類の作成準備にとりかかろうとしました。
ただ、内心、お客様ではあるものの、電話の主に対して、こんな些細な事でうちの女子社員を恫喝するとは、男として何と卑劣な奴だと憤慨もしておりましたが・・・。
すると、しばらくして営業担当者から連絡があり、お客様の窓口の部長へ経過報告をしたところ、実は何事も大げさに騒ぎ立てる人だそうで、あまり気にしなくても良い、社内の連携が良くとれていて、すぐさま営業からフォローの連絡が入ったことをかえって好評価していただいたとの報告でした。
なお、電話の主に対しては、部長からご説明頂ける事で決着となりました。
また、裏話として、窓口の部長と今回の電話の主はあまり仲が良くなく、何かに付け、部長に対して足を引っ張る行為をするそうで、以前から部長も苦々しく思っていらっしやるようだとの事でした。
私は、少々拍子抜けをしながらも、確かに何事も大げさに騒ぎ立てる人はどこにでもいるものだし、まともにお詫びに行っておれば、ますます相手が図に乗って、部長の面目もつぶれてしまうところでした。
クレームが、時には、お客様内部の人間関係の綱引きに利用される場合もあり、我々としても、クレーム対応の仕方にも、よくよく注意が必要と痛感した事例です。
よくマニュアル本などに、クレーム対応の常識として、相手の話を良く聴いて、誠心誠意、スピーディーな対応が求められるとありますが、必ずしもそのようなケースばかりではなく、イレギュラーな対応を要求されるケースも存在します。
また、反対に人間としての尊厳や誇りを踏みにじるような理不尽な行為に対して、毅然とした態度を表す事も必要な場合もあります。
要は、クレーム対応に常識というものは存在しないという事です。