10数年前、私は、セールスマンでした。


保険のセールスマンとして、生命保険から損害保険、すべての保険商品を取り扱っていました。


自分は、元々セールスという仕事が好きで、特に保険は、自分に合っていると思っていました。


しかし、なりたての頃、生命保険は、半年たっても、全く売れません。


ものすごく自己嫌悪に陥りました。


訪問先は、法人客がメインで、主に損害保険の既契約者回りが私の仕事でした。


損害保険なので、当然、事故などの支払事由が発生すると保険金の請求手続きが必要となります。


お客様は、保険金がスムーズに支払われることが当たり前と思っていらっしゃるのですが、実際には保険約款(保険金の支払い条件等、あらかじめ取り決めた契約内容の事。)に合わない事故の場合、支払われないケースも結構あります。


そんなとき、お客様からクレームになるわけです。


お客様にしてみれば、騙された思いで一杯になったり、がっかりされたりして、一気に保険会社への信用を無くしてしまいます。


その窓口になるのが、われわれセールスマンなんです。


保険という商品は、契約して終わりというわけではなく、万が一、お客様が事故やおケガやお亡くなりになった時に、保険金をお支払いして、初めて完結するものです。


本来は、おつき合いやお願いされて契約するものではなく、きちんと事前にお客様のニーズに合っているかどうかをお客様と一緒に確認しながら、契約していくべきなのですが、数字に追われてしまい、実際には、お客様都合ではなく、自分都合でお客様にお勧めしたりする手法が昔は割となされていました。


損害保険は、だいたい1年契約のものが多く、毎年満期が来ます。


最初にご契約頂いた頃の契約内容を忘れてしまっていらっしゃるお客様もかなりお見えになります。


契継続約時にいちいち説明を受ける時間もないし、深く検討するほど興味もない、自動車保険は自動車事故が起こったとき、火災保険は火事のとき、傷害保険はケガをしたときに保険がおりる程度の理解のまま、ずっと継続してきているから、まあ、このセールスマンなら大丈夫だろう・・・。


こんな感じでお客様は毎年、契約内容の確認もあまりされずに、去年と同条件で継続契約されるパターンが多かったのです。


そして、ひとたび事故が起これば、保険金が支払われない事態が発生し、トラブルとなってしまうわけです。


そこで、私は、保険を売る者として、まずは、お客様の視点になって考えるべきだと考え、シンプルな活動を実践することとしました。それは・・・、


「きちんと現在の契約内容をご案内する。」というたったこれだけの事です。


そのためには、お客様と時間をかけて、お話をする事が重要になってきます。


今でこそ、当たり前の事になっていますが、保険の商品をお勧めをするだけでは、保険のプロとしてあまりにも情けないし、継続契約の案内だけでは、やりがいも見いだせなかったのです。


お客様は、保険はよくわからないから、本当は内容をもっとよく知りたいという欲求を持っていらっしゃいます。


特に、今、加入している保険全体をきちんと整理して、ダブりや抜けがないかどうかを確認されたい方が多いのです。


保険料を何でも節約したいわけではなく、必要な保険かどうかを理解した上で、加入されたいのです。


地味ではありましたが、お客様とのコミュニケーションに時間をかけ、信頼関係を強化して、契約内容の現状把握のお手伝いをするうちに、他社分の契約書のコピーを全部用意していただくようなお客様も現れました。


この活動が、それから3か月後の12月に大きな生命保険の法人契約につながったのでした。


そして、ありがたい事に、生命保険の実績が損害保険を超えるまで拡大したのです。


今は、部署の異動により保険販売からは、遠ざかってしまいましたが、この経験は、私にとって、セールスの基本を学ぶのにどんな高額のセミナーよりも有効であったと思っています。


また、機会があれば、ぜひ営業の現場へ戻りたいですね。