午後から、なじみの弁護士の先生と話す機会があった。


この先生とは、奥様を通じて知り合い、もう20年以上のつき合いになるが、口下手なタイプであまり人を褒めることはない。


ある相談でお客様が事務所へお越しになる事となったので、私も付き添いで同行するつもりが、すこしばかり早く来すぎたようで、お客様を待つ間、先生と雑談となったわけである。


最近の判例の動向など、何となく伺い、話していると、突然、先生が、


「いつもあなたは、お客様に寄り添っていらっしゃっていて、お客様は幸せだ。」と急に私の事を褒めてくれたのだ。


そんなことはあまり思ってみたこともなかったので、正直、この先生、よほどうれしい事があったのだろうと思ったが、なぜそう思うか伺ってみたところ、事務所に同行する人はあまりいないという事と、受任から解決まで、法廷の傍聴席で裁判の動向を見届ける姿勢が昔から変わらないという点を挙げてくれた。


それは、かつて、先輩から教わった事で、元々、私自身が自分で身に付けたスキルではないのだが、褒めてくれたことが、あらためてうれしかった。


私が教わった先輩たちは、引退されて、すでに会社にはいない。


当たり前だと思って、普通におこなっている事が、世間の常識からずれてしまっている事はよくある。


そのずれが、マイナスの方向へずれているのか、プラスの方へずれているか、当の本人からは意外と見えないものだ。


たまに、他人から指摘されないと、わからない。


しかし、なかなか指摘してくれるものでもない。


特にマイナス方向ならなおさらだ。


先生は、珍しくお世辞を言ってくれたのかもしれないが、それでも、ただただ、私は、今は無き先輩たちに感謝しなければならない。


そして、改めて、目の前のお客様を大切にしようと思った。