新幹線の車窓。
大雨で乱れたダイヤのなか、なんとかつかまえた臨時便の自由席。
ようやく一息。
西の空は過ぎ去った前線の雲と夕日とが
恐ろしく美しい色を作り出していた。
出張中の身でカメラなどもなく、
でかい音を出すケータイのカメラなど、
この満席の新幹線で使う気にもさらさらなれず
ただ、ぼんやりと見つめていた。
前席の女性が俺と同じように窓に貼り付いている。
そしてスマホを取り出すと俺が撮りたいと思った空を
カメラに収め始めた。
あぁ、俺みたいに空へ想いを馳せる人も居るんだな、と
見るとはなしにその後ろ頭を見つめる。
明るい茶色のストレートロング。
俗に言う「ねーちゃん」のようなカンジだと見受けるが、
ちょっと素敵な感性を持ってるのかもしれない。
広島駅で彼女が立ち上がった。
あぁ、広島のひとなんだ。
!
振り返ったその顔は「ねーちゃん」どころじゃない
どうみても50upの初老。
・・・参った。
なんつー若作りをしてるんだ。
誰かしょっぴけ!