僕のお父さんもお母さんも病気で死んでからどんなに楽しいことを考えても涙が止まらなくて
そんなときに出会ったんだ、僕に笑顔をくれたあの人に・・・
『アリス!今日はサーカスに行こう!』
ボサボサの黒い髪に真っ黒なシャツを着たいかにも地味という言葉が似合いそうな少年がそういうと
『いやよ、昨日も、その前も、その前の日もサーカスに行ったじゃない!今日はパパと買い物にいくわ!』
アリスと呼ばれた少年より少し大人びた少女はそう答えた
『そ・れ・に!毎回サーカス代3ルークスだしてあげてるのも私じゃない!』
『えー、でも昨日の前はサーカスには行ってないよ』
『そうじゃなくって!パパとかいも』
するとアリスの後ろから白い立派なヒゲのおじさんが顔を出した
『おやカイ君。アリスとお出かけかい?』
『そうなんです!でもアリス今日はおじさんと買い物にでかけるって』
『ふむ、アリス、カイ君とサーカスに行ってきなさい。その後買い物に行こう』
その声を聞いて、えーという顔をするアリス
『パパそう言って約束守ってくれたことないしー』
うっ、という苦い顔をするアリスの父を横にカイはソワソワし始めた
カイにとっていつからかサーカスは大好きな場所になっていた。多分文句を言いつつもアリスもサーカスが好きに違いない、カイはそう思っていた
『結局またきちゃったじゃない・・・』
アリスはそう呟くが、カイの耳にはもう届いていない
はぁ、とため息を吐くがアリスは実は嬉しかった
カイがサーカスに行きたがるようになったのは1ヶ月前くらいから。カイのパパとママが病気でなくなってからずっと1人でカイが泣いてて、私も声をかけてあげられなかった
そんなときカイを変えてくれた人が現れた。アリスは彼との出会いがカイの笑顔を取り戻してくれたと確信していた
あたりを見回すと、ライオンにゾウ、珍しい動物や口から火を吹く人までいる、でもカイが一番好きなのは
『あれ?また2人ともきてくれたの?』
真っ白な仮面に、赤い鼻。見ているだけで笑ってしまいそうなそんな愉快な姿はまさしくピエロ
『は、はい!お兄さんの舞台が大好きです!』
仮面で素顔は隠れているのに、仮面の下はきっと優しい笑顔なんだろうと思ってしまうような雰囲気の彼がカイは大好きだった
『嬉しいね!じゃあカイ君にはこれを』
ピエロのお兄さんはカイの前でパン!と一回手を叩いた。するとお兄さんがつけている仮面と同じものがどこからともなく現れカイに手渡された
『わぁ!すっごく嬉しいよ!、、、だけどでかすぎて顔につけられないよ』
『う〜ん、カイ君がもう少し大人にならないとつけられないかもな〜』
『私には?私には?』
横で目をキラキラさせながらアリアはピエロのお兄さんに尋ねた
『んー、じゃあアリアちゃんにはー』
またパンっと手を叩くとどこからともなく現れた赤いバラ
『えー、私もカイと同じのがよかったわー』
ぷすーとほおを膨らませていじけるアリアだったが
『そのバラは特別でね、好きな人のことを考えてるときは絶対に枯れないんだよ?』
『えー、嘘だー!』
カイがそう言うと、『ホントだよ!』とお兄さんはまたにっこり
『じゃあアリアは好きな子いるの?』
とカイが尋ねると、アリアは真っ赤になって
『いないわよ‼︎』
とカイの頬を叩いた。ピエロのお兄さんはそんな姿を見てちょっと後悔したようだった
『ライン〜?』
お兄さんの方に向けて放たれた言葉を耳にして、お兄さんはぎょっとした
『か、カザネ団長・・・』
カイ達も声のした方に振り向くとそこには赤髪をまとめた女性が立っていた
『まったく、あんた今日は大技やるのにチビっ子たちの相手してて大丈夫なの〜?』
まったく!と顔を手で押さえながらカザネと呼ばれた女性はピエロのお兄さんに尋ねた
『あー、あれは心配ありませんよ。何回も調整してますし、それにこんなに可愛いお客様の前で失敗はできませんよ』
ねっ!と言ってお兄さんはカイとアリアに目配せをした
『ならいいけど、じゃあ私は先にもど、、、⁉︎』
カザネの動きが一瞬止まった。その目線の先にはカイがもつお兄さんと同じピエロの仮面があった
『おい、ライン。あんたあーゆー商売道具を勝手にあげんなよな〜』
『えー、元は団長が僕にくれたもんじゃないですかー』
柔らかい口調で彼は返したが、この仮面には大事な思い出があるんだとカイは何となく感じた
サーカスは今日も変わらず、笑いをとるためにピエロのお兄さんは大玉からずっこけたり、おどけてみせたり
昨日も今日も明日も、同じように客席からは笑いがこみ上げ、ピエロのお兄さんはみんなに手を振りました
でも、今日はいつもと違ったのです
『本日はみなさまに私の最大のショーをお見せいたします』
ピエロのお兄さんの差す上を見上げるとカイ達のいる客席のはるか遠くに一本の綱が張ってありました
(え、お兄さんまさかあんな高いところの綱を渡るのかしら?)
(アリア、お兄さんを疑ってるの?お兄さんにできないことはないんだよ?)
いきなり本番でできちゃうなんてやっぱりお兄さんはすごいんだ
そんなことを思っている間に彼はすでにはるか高くの綱の上を歩いていた
手に持った一本の棒だけでバランスをとりつつ、綱の中心へ一歩ずつ、一歩ずつ進んでいく
中心に限りなく中心に彼が近づいたとき
ブチッ
と綱がキレる音とドサッという、乾いた地面にゆっくりと肉を叩きつけたような音が響いた
つづく
はいどーも!今日はネタないんで、以前から書いてるピエロっていう小説の1話をださせてもらいました
ははは、マジネタない(笑)
あんまり小説みたいな文を書くのは得意じゃないのといつもギャグが強いんで真面目な感じで書いてみました!
2話の更新はまたネタがないときになりやす!
それくらいには今日は忙しかったんでこちらで勘弁!明日はまたしっかりブログかきます
あとコメント返信します!
ではまた次回!