アップルパイ@KENTA | SPYAIR オフィシャルブログ by Ameba

アップルパイ@KENTA

*想像しながらお楽しみください。









私はアップルパイが大好きだ。

あの長方形、格子状に張り巡らされたパイのフォルム。


美しささえ感じる。






特に、ミスタードーナッツのアップルパイは、その美しいフォルムにパウダースノーかのごとく、シュガーパウダーがちりばめられている。




初めて食べた瞬間から、私は虜になった…








そして今日、私は7時頃家を出た。

なぜなら、両親に呼び出され、ある場所までアッシーとして使われたのだ。

昨日は3時に床についたというのに、





私は眠たい目を擦り、車に乗り込み走りはじめた…

乱れることのない、現代の数学では解き明かすことのできない形…
丸いハンドルを握り。




両親とはほとんど顔を合わすことがないので、道中色々な話に花が咲いた。
バンド活動について、今後の活動、両親の仕事についてや、今日はなんでこんなに早く出勤をするのかなど、他愛もない話だ。


しかし、こんな時間も必要だ。


他愛もない話、私が生きていく中でその時間には、特に意味がないのかもしれない。

しかしながら、こんな時間は絶対に必要なのである。



そうこうしているうちに、車は目的地に到着し、両親を降ろし、私は自宅へ向けハンドルを握った。





ハンドルを握ったその時だ・・・



見覚えのある形の看板を見つけた。



あれは・・・・・・・・





ミスタードーナッツだ!!!!!!!!!!





その時の私の顔は、決して見せられるものではなかったであろう。


一重の細い目は、それ以上開くことができないくらいに見開き、口は「お」を発音する時の形。




いわば





鯉だ。





鯉が水面で餌を欲しがっている時の顔。




魚だからこその可愛らしさ。



180cm近い身長、体格は極めてガッチリしている。


そんな私が




鯉である。






なんとも滑稽だ。




しかし、そんなことに気をとられている暇はない。



朝から何も食べず、3時間ちょっとしか睡眠はとっていない。


世間で言う「腹の虫」は限界を超え、すでに音すら発しなくなっていた。






私は慌てて駆け込んだ。



ジャージにスウェット、髪の毛は寝癖のまま、あからさまの



寝起き。




しかし、そんなことに気をとられている暇はない。




綺麗に陳列されるドーナッツ。


大人気の「ポンデリング」が・・・ない。



少し肩を落とし、ディスプレイされるドーナッツを眺める。




私は決めあぐねていた・・・


「オールドファッション」にするか、「チョコファッション」を選ぶのか。



無論、「スティックパイアップル」はすでに注文をしている。

店内に足を踏み入れたその時から、店員には「スティックパイアップル」を一つ!

と、声を大にして注文済みだ。



どのくらいの時間が経ったのだろう。


眉をしかめる店員を横目に、決めあぐねていた。


そんな店員の顔が気になり、私は渋々「オールドファッション」を注文した。



ドーナッツ2つと、アイスカフェオレを頼み、店を後にした。


もちろん、カフェオレはガム抜きである。





私は胸を躍らせていた。


久しぶりのアップルパイ。


家まで持ち帰ろうと思っていたが、すでに私の腹は限界に達していた。


車内に一人。


一人でつぶやいた。



「腹減った・・・」



その言葉は私の手をミスタードーナッツの紙袋に導いた。



俗に言う「ながら運転」である。



食べながらの運転、これは非常に危険である。



携帯電話で話しをしながら運転をするよりも危険なのかもしれない。




すでにオールドファッションは私の口に粉々にされ、胃袋の中へ綺麗に収納されている。



ある信号で赤信号に捕まった。



絶好の機会だ。



私はすばやくアップルパイを手に取り、その美しき食べ物を口へ運んだ。




その時である、隣の斜線には白と黒のツートンカラー。


キリっとした制服に腕を通し、凛々しくも厳しい目を光らせる警察官が2人。



こちらをジロっと見ている。



私は思った。



「携帯じゃない!ドーナッツだ!」



そんな私は、警察官に向けドーナッツが見えるように、アップルパイを口に運んだ。




警察官を横目に食べるというプレッシャーからか、アップルパイを食すという高揚からか、口に含んだそのとき・・・









「ゴフッゴフッ!!!!」






その白く美しくも絶妙な甘さを持つシュガーパウダーが、私の気管を攻撃したのだ。




その瞬間、運転席前のフロントガラス、ハンドルがシュガーパウダーで真っ白になったのだ。




それを見た警察官は、薄っすらと笑みを浮かべていた。



恐らく、こんな話をしていたのだろう。




警察官A「プッ、ちょ!あいつ噴いたぜ!」


警察官B「あ~やっちゃったね。あのシュガーはマジで凶器」


警察官A「そうなの!?超美味そうなのに!」


警察官B「お前・・・アマいよ?あれ、マジ凶器」


警察官A「ふ~ん・・・・」


警察官B「あ、前。青だよ」


警察官A「お!」



なんて、会話が私には聞こえた。





その時私は初めて感じた。










シュガーパウダー









マジ凶器。






see ya