池袋駅で埼京線乗ったら、突然、

「これ、各駅停車ですか?」

と聞かれた。


おじさん、というにはまだ早い。かといってお兄さん、という感じでもない男性だった。


「はい…!(たぶん)」

わたしの意識をよそに、勝手にわたしらしき人が返事した。


自分が発した答えが何かの合図だったかのように、自分の涙タンクを斜めに傾けられたのが分かった。

男性は「そっか」と言ってまた男性の世界の底に戻っていった。

スーツの左がわにはバッジがしてある。会社のものか。会社、会社、会社…。そう、私には、仕事、仕事、仕事………



ふとぶわと涙らしきものがでてきた。幸い今日は眼鏡なので男性には気づかれていないはずだ。窓にうつる自分の頬には透明にゆらめくものが見えた。


私は、疲れすぎてるんだ………。


そんな風に考えた。

弱ってるとき、思考は完全に暗くなる。


板橋~ 板橋~



男性は、板橋で降りた。わたしに「ありがとう」とう言葉を残してーー。


「ありがとう」


妙に、響きました。

夜の、消えそうな、わたしに。