夢を見ていた。
わたし夢見ているのかなと思いながら。

電話をする夢だった。
電話の向こうに誰がいるのかはわかっていた。
はっきりと良く分からないけれど、鋭いけど切なさが滲んだ目の男の人だった。

なぜ誰だか分かったのかというと
声ではなくて、
見ている夢の中で、まるで映画のようにそのシーンが移動したからだ。
そこには、モスグリーンみたいな色の服を着た、黒髪の男の人が話してた。

再び私の画面に戻る。

彼の声がよく聞こえない。
ここはよく見たら大学キャンパスのようだった。
雑音で声が聞こえないのだ。

私は彼との関係を――それが誰だか判別できなくても――終わらせたくないと思っている。
さようならとか、そんな類のことを言われる、と警戒しているのだ。

それで必死に、「ごめん、聞こえないんだ、

「ちょっと移動するから、待ってて。」

と言って彼をつなぎ留めている。

「うん」というどことなく無邪気で、落ち着いた声がかえってくる。

移動した。ここで私はきっとさようならって言われるんだろう。
そう予想している。すごくこわかった。

でもおかしい。彼は何も「僕らは離れた方がいいと思う」
とか「僕らはいっしょにいない方がいいと思う」

とか言わない。おかしい。おかしい。

私は何故か吉祥寺の紳士服屋さんがある道の角を見つけ
そこを「静かな場所」として選び、座った。

雑音は消えた。まだ彼は言わない。

なんだおかしいな。いいの?それで。

彼は最終的に、他愛もない話をしてから、
「じゃ、また連絡する」とか、そんな言葉を言って電話を切った。(ように思う)

私は体中が硬直したような――ちょうど道端で朽ち果てた小鳥であるかのような
感覚とともに目を覚ました。

身体は…動く。

夢だったのだ。やっぱり。
ほっとした。(ような気がした)

身体は…やっぱり動いた。