Side JM
「嫌だったら…そう言って」と言って僕を抱き寄せてから、長い間、ジョングクは僕を見つめていた。たぶん、僕が本気で逃げようと思えば逃げられるくらいの長い時間だった。でも僕には、逃げようという気持ちは湧いてこなかった。ただ、ジョングクの瞳を見つめて、ドキドキしていただけだった。
「っ…」
ジョングクと唇を合わせた途端、電流が走ったみたいに体中がざわざわと騒いだ。
な、なにこれ…
どうしよ…
嫌…じゃなくて…
それどころか…
ずっと求めていたものを見つけたような、満たされた気持ちにさえなった。ジョングクの香りと体温に触れているのが心地よくて、思わずぎゅっと彼の手を握る。すぐにぎゅっと握り返されて、とくん、と胸が鳴る。
ジョングクは唇を離した。眉が寄る。
「そんなことされたら…我慢できない…です…」
「え、あ…」
ジョングクの体重を感じたかと思うと、ベッ ドの上に 押し 倒 される。再び被さる唇。さっき違うのは、今度はジョングクの熱が忍び込んできたことだ。
「っん、んんっ…」
僕の熱をなぞるようにされるとぞくぞくして、僕は目を閉じて、僕の指に絡まっているジョングクの手をぎゅっと握った。
「っ…ん…」
薄目を開けると、ジョングクも目を閉じていて、ドキドキした。
こんなに…
こんな風に、好きだったのか?
僕のこと…
ちゅっ、と大きく音が上がった瞬間、ジョングクは慌てたように唇を離した。
「ごめんなさい…つい…」
身を起こしたジョングクの耳が染まっている。
「お前そんなエ ロいちゅーどこで覚えたの?」
内心ドキドキ言ってるのを隠したくて、わざと揶揄するように言うと、ジョングクは困った顔になった。
「どこでもないです…ただジミニヒョンと…ずっとこうしてみたくて…」
ずっと…
「ずっと」っていつからなんだろう。僕らは本当にずっと、一緒にいるというのに。
「ごめんなさい…困らせましたよね」
ジョングクは僕を抱き起こした。
「困ってはないよ…困ってはないけど…」
このドキドキ言うのが、どこから来るものなのか、僕には明確にはわからなかった。
「僕待ちます。ジミニヒョンが僕のこと…そういう対象として見てくれるまで」