目を覚ますと、見慣れた天井だ。頭がわずかに痛い。僕はのろのろと起き上がった。宿舎の自分の部屋のベッドだ。時間を確かめるために、傍のスマホを覗き込む。昨夜届いていたのか、画面に表示されたままのメッセージが目に飛び込んでくる。
「たしかに、メンバーだし、家族みたいになっちゃってんだったら、まずは意識してもらうところからだよな」
えっと…
グループも事務所も別だけど、仲良くしている同い年の友達からのメッセージを見て、昨日の記憶を手繰り寄せる。そうだ、と僕は頭を抱えた。久々に皆で飲んだのだった。それで、滅多に酔わないジミニヒョンが少し酔っ払っていてすごく可愛くて、悶々としてしまい、つい友達に相談してしまったのだ。
だって、そうでもしないと…
上機嫌に僕の顔を覗き込んでくるジミニヒョンは可愛くて、今にもそのまま宿舎の僕の部屋に連れ込んでしまいたい気持ちになって、怖かったのだ。今は普段、宿舎ではなく別の場所に住んでいる。昨夜は宿舎で撮影をしてそのまま泊まる予定だったから、久々にジミニヒョンと同じ屋根の下で眠ると思うと余計にドキドキしていたみたいだ。僕は着替えを用意してシャワーを浴びにバスルームへ直行した。
「はあ…」
頭から強めのシャワーを浴びて、ため息をついた。
こんな風に思っているのは僕だけなんだろうな…
だって…
昨夜の記憶をもう一度手繰る。他でもないジミニヒョンから「好きな子とかいんの?」とか聞かれた気がする。
そんなの聞かれるなんて、完全に脈無しだよな…
僕の好きな「子」なんて…
そんなの、ずっと…
ずっと、ジミニヒョンなのに…
そこまで考えて、僕は小さな違和感を感じて首を傾げながら、シャワーのレバーをひねった。
あれ…
僕、昨日…
髪から水がぽたり、ぽたりと落ちる。頭の中で「好きなのは…ジミニヒョンです」という言葉が自分の声で再生されて、僕は頭を振って水滴を振り飛ばした。
僕…もしかして、告白…しちゃったのか?
うっすらと残る昨夜の記憶にはもやがかかっている。しかし、先程頭の中で再生された告白の言葉の響きだけは、だんだんとクリアに蘇ってきた。
告白…しちゃったな、これ…
どうしよう…ジミニヒョン、気づいたかな…
変に思った…よね…
胸の高鳴りが激しくなってくる。今日は皆オフのはずだ。ジミニヒョンはまだ宿舎にいるかもしれない。バスルームから出ると急いで髪を乾かして、僕はリビングへ向かった。