(ジョングク×ジミン)です
「ジミンさんがお餅に専念してくれたおかげで僕、ジミンさんに出会えたから」
すぐに意味がわからなくてぼんやり考えていたら、配達中にジョングクと出会ったことが蘇ってきた。思い出すとなぜかドキドキして、僕は落ち着きたくて口元を手で隠した。
「あっ、あのときっ…お餅の配達中だったから…」
やっとのことでそう言うと、ジョングクはにこっ、と笑った。その笑顔に思わず見惚れる。
「僕、ジミンさんに出会えてよかったです」
たたみかけるように言うと、ジョングクは僕の手を取って顔の横で手をつなぐと、そのままの位置でぎゅっと握った。
ななななに…これなに…
めちゃくちゃドキドキする…
「あ…りがと…」
ジョングクにじっと見つめられると頰が熱くなる。何か言わなきゃいけないように感じて落ち着かず、僕は焦った。
「それ…って…もしや…お餅もらえるからだろ!」
ドキドキするのを隠したくて茶化すと、ジョングクは噴き出した。
「ふふ…違いますよ…もちろんお餅もらえるの嬉しいですけど」
ジョングクは僕の手を離すと、笑いながら、もう片方の手に持ったお餅を差し出した。
「食べましょ」
頷いて受け取る。ジョングクは一口お餅をかじって「でも本当にかっこよかったなあ…」としみじみ呟いた。
「なんでダンスの動画見てたんだ?」
気になって聞いてみた。
「テコンドー部で今度、テコン舞を披露するんです…それで振り付けの参考にしたくてダンスの動画を見てたんです」
「へえ…テコン舞」
自分の作ったお餅をかじりながら、ジョングクが踊る姿を想像する。
「かっこいいだろうなあ…見てみたい」
僕がぼそりと言うと、ジョングクは大きな瞳をさらに大きく見開いた。
「見に…来ますか?今度」
「え…」
なぜか口を尖らせてこちらを窺うように見るジョングクの頰が、心なしか染まっている。
照れてんのかな…
かわいい…
「行ってもいいの?」
「はい!もちろん」
ジョングクは嬉しそうに笑った。
「じゃあ今度差し入れのお餅持って行くよ」
そう言うと、ジョングクは慌てて手を振った。
「ううん、そんなの悪いです」
「いいんだよ。宣伝になるだろ?」
僕がいたずらっぽく言うとジョングクは安心したように笑った。
「さすがジミンさん…しっかりしてる」
「ふふ…じゃあ連絡先教えて?」
僕がポケットから取り出したスマホを見せるとジョングクはまた驚いたように目を見開いた。
「ああ…僕が聞きたかったのに」
「へ?どういうこと?」
残念そうに言う意味がわからなくて聞き返すと、ジョングクは慌てたように首を振った。
「ううん、なんでもないです…えっと、これです」
ジョングクもスマホを出して互いの連絡先を交換した。
「じゃあ今度行けるとき連絡する」
僕が言うとジョングクは嬉しそうに「はい」と言って笑った。