(ジョングク×ジミン)です
「ジミンさん、僕見ました」
「へ?何を?」
ドアを開けるなりそう言うと、ジミンさんはきょとんとして、そのあと
「あれ?今日…高校あるの?」
と聞いてから僕の服を見てまた「あれ?」と呟いた。いつもは制服だけど、今日は土曜日だから私服だったのだ。
「今日は…高校ないです。休みだけど、その…」
会いたくて、と続けようとした時、ジミンさんがくすくす笑った。
「ジョングクの私服初めて見た」
笑い続けるジミンさんに僕は何かおかしかったかと自分の服を見た。オーバーサイズのシャツに黒いズボン。最近こんな服ばかり着ている。
「変ですか?」
「ううん…なんか、大人っぽく見える」
僕は嬉しくなった。ジミンさんの前では子供でいたくなかったからだ。
「あの、それで、昨日!見つけたんです、ジミンさんを」
「へ?昨日はずっとお店にいたよ?」
「いえ…動画…ジミンさんがダンス大会で踊ってる動画を見ました」
ジミンさんが目を見開いた。
「すごくカッコよかったです…ダンスもすごく上手くて…僕感動して…」
そこまで勢いよく話したところで、ジミンさんの顔がどんどん曇っていくのに気づいた。心なしか、瞳が潤んでいるように見えて僕は焦った。
「ご、ごめんなさい…僕…」
何か悪いことを言ったのだろうか。混乱しながらガラスケース越しに近づこうとした時、店の奥からジミンさんのおばあさんが顔を出した。
「おや、お友達かい?ちょうどよかった。ジミン、少し休憩しておいでよ」
「おばあちゃん」
おばあさんはお餅を2つ袋に入れ、僕に手渡した。
「いつも来てくれてありがとうね。この子は全然休憩取らないから…あんた、ちょっと公園へでも連れ出しておくれ」
「おばあちゃん…」
ジミンさんはおばあさんに押し出される形でガラスケースからドアの方へやってきた。僕はジミンさんの手を取った。ジミンさんが驚いたように僕を見たけれど、僕は構わずにおばあさんに「行ってきます」と声をかけて、ジミンさんを連れて店の外へ出た。