*BL妄想(ジョングク×ジミン)です

   苦手な方は閲覧ご注意ください

*画像お借りしています

*第1話はこちら












Side JM







店員さんにタクシーを呼んでもらい、ジョングクの体を揺り動かすと、「ん…」と反応があった。



「グガ、帰ろ?」



ジョングクは一瞬目を半分ほど開けたものの、すぐに閉じた。唇が少し開いている。




この唇がさっき…




僕の耳に触れたんだ…と思うと、また体が熱くなりそうで僕は首を振った。



「な、俺に捕まって?」



ジョングクを抱き寄せて、僕の肩にもたれかからせるようにすると、ぎゅっとしがみついてくる。




や、やば…可愛い…




そのまま僕もぎゅっと抱きしめて、じっとしていたかった。だけど、もうタクシーがビルの下に来ていると連絡を受けていたから、僕はジョングクの脇の下に肩を入れて一緒に立ち上がった。



「お、おも…」



思わず声が漏れる。肩を組む形で一緒に歩き出す。ジョングクは意識があるのかないのかわからないけれど、僕の肩に顔を埋めて、「ふぅ…」と吐息を漏らした。




こんな酔っ払ってるの、初めて見たかも…




ジョングクが大人になるに従って、甘えられることが減ったせいか、子供みたいにしがみついてくるのが可愛くて仕方ない。




子供じゃないから、図体がでかいのが…大変だけど…




よたよたとよろけながらも、店の前のエレベーターにたどり着いた。心配した店員さんが下まで一緒に、と言ってくれたけれど、それを断り、エレベーターにジョングクと一緒に乗り込む。エレベーターの扉が閉まると少しホッとして、ジョングクの顔を見た。苦しそうではなかったから安心して、エレベーターの壁に背中を預けると、よろけたジョングクが僕の前から覆い被さった。



「グガ…大丈」



「じみにょん…」



甘えた口調で名前を呼ばれてドキドキした。ぎゅっと抱きしめられて、起きたのかと顔を見ると、ジョングクはやはり目を閉じたままだった。



「だ、だめ…」



ジョングクはすごい力で僕をその腕の中に押し付けてくる。僕は抱きしめられた腕の間から階数を示すパネルに目を走らせた。1階に着いて、人がいたら面倒なことになりそうだった。



「グガ、ちょっと離れて…」



僕が強めにジョングクを押し、彼がよろけてエレベーターのドアにぶつかった瞬間、エレベーターが1階に着いてドアが開く。ジョングクはエレベーターの外に転がり出た。



「わあっ…グガ大丈夫?」



常人ならバランスを崩し、こけて地面に倒れこんでいるだろうに、ジョングクは地面に手と膝をついて四つん這いでとどまっている。起きたのかと思って顔を見たけれど、目を瞑っていた。幸いにビルの1階には誰もいない。すぐそこの道路にタクシーの車が待っていてくれている。



「ジョングガ、歩ける?帰ろ?」



僕がしゃがんで耳元で声をかけると、ジョングクはうっすら目を開けて頷き、四つん這いのままのろのろと動き出した。



「わ、立って、お前…」



「んー…」



オフィスも入っているビルの廊下はきれいだったけれど、這いつくばったまま進ませるわけにいかない。僕はしゃがんでジョングクに近づくと、腕を自分の肩に回して抱き起こそうとした。



「んっ」



重くて僕の力だと持ち上がらない。僕はよろけて、しりもちをついた。



「んー…大丈夫、です」



ジョングクはぶつぶつ呟くと、またよろよろと四つん這いのまま外へ向かっていく。さすがに道には人通りもあるだろう。僕は慌ててジョングクを追った。




酔っ払ってるのに、なんでそんな早いんだよ…




笑いがこみ上げた。ジョングクは意外とスムーズにビルの入り口まで来て、入り口で力尽きたように顎を上にあげ、後ろへ体を倒すと座り込んだ。



「グガ、もう少しだから、立てる?」



「ん…」



近づいて、目の前にしゃがみこむと、ジョングクが僕に向かって腕を伸ばしてくる。彼は僕の顔を両手で挟んだ。



「んー…」






僕に向かって甘えるように唇を突き出すから、どきん、と胸が鳴る。




か、可愛い…




でも…




「だ、だめだって…ここじゃだめ…」



タクシーの運転手さんが、心配そうにこっちを見ているのがわかった。



「家帰ったら、な?」



髪を撫でながらそう言うと、ジョングクはこくりと頷いた。



「立てる?」



ジョングクは「ん…」と言いながら、目を瞑って僕に寄りかかった。僕が立ちあがると一緒に立ち上がる。そのまま、腕をジョングクの体に回して道路の方へ促すと歩いてくれた。そのままタクシーまで近づいて、後部座席へ押し込んだ。運転手さんに行き先を告げると、すぐに車を出してくれる。


ジョングクの顔を見る。あどけない顔ですやすや寝ていて、僕はホッとした。




起きたら赤ちゃん(애기)って呼んであげなきゃ…