*BL妄想(ジョングク×ジミン)です
「だってふたりきり、だから…なんか、よくて…」
そう言うと、ジョングクは、こてっ、とテーブルに寝た。頰をテーブルにくっつけて、こちらを見上げる。嬉しそうに言うのが可愛いけれど、あんなキスを交わした後だから、なんだか照れくさくて、僕はジョングクの頭を雑に撫でた。
「酔ったのか?」
「酔ってないよ…あ、これあの先輩の曲」
ちょうど、最近メンバー内で話をしていた別グループの先輩の曲が流れ出して、僕たちは耳をすませた。サビで「好きだ」と何回も歌詞が出てくる曲だ。ジョングクがいたずらっぽい瞳で僕を見たかと思うと、いきなりサビに合わせて「ジミニヒョン、好きだー」と歌った。
「わ、お前、何…」
ジョングクの歌ったのは一瞬だったけれど、結構な声量で、僕は焦ってジョングクの口を押さえた。ジョングクは、ふふ、といたずらっぽく笑い声をあげる。
「もう、酔ってるだろ!」
僕が笑いながら言うと、ジョングクは起き上がった。
「酔ってないよ…ね、ジミニヒョンは?」
「へ?酔ってないけど…」
僕が言うと、ジョングクは少し黙った後、「ふふ」と笑った。
「違うよ。ジミニヒョン好きって言ったでしょ。ジミニヒョンは?」
…わぁ、うさぎみたいなくりくり目…
小さく首を傾げて、こちらに期待するような瞳を向けてくるジョングクに僕は今更ながらドキドキした。
「…お前さ、やっぱり酔ってるよ」
なんだか落ち着かなくて、掴まれた手首を離そうとすると、ぎゅっと力を込められて逃げられなくなった。
「酔ってない…ね、ジミニヒョンは?」
顔を覗き込むようにされて、僕は顔が熱くなった。
そりゃ僕だって、大好きだけど…
僕は引戸をちらりと見た。相変わらずお客さんが多いのかパタパタと行き交う足音が聞こえる。ジョングクは僕の戸惑いを気にしていない風で、
「聞きたいな」
とにこにこして言った。
…あーっ、もう…
「好、きっ、だよ…」
顔が熱い。小さく切って発音するとジョングクは一瞬笑顔になって、そのあとすぐに首を横に振る。
「聞こえなかったです。もっかい」
「もう!わかった、酔ってないな…」
僕が笑って言うと、ジョングクは急に真顔になった。
「じゃあさ、ジミニヒョン」
「な、なに?」
相変わらず手首は肩の高さで掴まれたままで、じっと見つめられるとドキドキした。
「僕がホントに酔ったら、照れずにちゃんと本気で言ってくれる?」
…うぅ、なんでこんな可愛いこと言うんだよ…
僕もそうだけど、ジョングクもほとんど酔っ払わない。
グガの酔ったとこ、ちょっと見てみたいな…
「うん…」
僕が頷くと、ジョングクはやっと僕の手首を離して、一気にカクテルを飲み干した。