*BL妄想(ジョングク×ジミン)です
ジョングクと2人でソウルの夜景を見ながらカクテル飲むなんて…
僕は珍しくオーダーしたカクテルを飲みながら、雰囲気を楽しんでいた。いつもはもっと強いお酒を飲むことが多いし、しかもすぐに飲み干してしまう。けれど、いつもの僕のそんなスタイルは、お店の雰囲気には合わない気がしてカクテルにした。赤い色がグラデーションになったロングのカクテルはとても美味しい。
ジョングクが頼んだのは美しいエメラルド色のカクテルだ。なのに、彼が喉を鳴らして美味しそうにぐいっと一息に飲んだので、僕は噴き出した。
「お前…そんなすぐ飲んじゃダメだよ…雰囲気を楽しむんだから」
「へ?あ…そっか」
ジョングクは申し訳なさそうに、半ば空になったロンググラスを見た。
「メロンリキュールだっけ?」
「そうだよ…もう一つ頼もう」
ジョングクは飲み干してしまうと、店員さんを呼んで同じものをもう一つ頼んだ。出てきたカクテルをジョングクはにこ、と笑って僕に差し出した。
「飲んでみてジミニヒョン」
口をつけると、ふわりとメロンの香りが立つ。
「美味しい」
僕も次これにしようかな、と言おうとして顔を上げると、ジョングクが顔を寄せてきた。
「あ…」
頰にキスされて、どきりとした瞬間、抱き寄せられる。
「一緒に飲も…」
カクテルを持ったままの僕の手からそっとそれを奪うと、ジョングクは一口飲んでテーブルに置いた。強く抱き寄せられて、ドキドキしている間にジョングクの顔が近づいてきた。温かい唇が重なったと思った瞬間、冷たいメロン味がした。こぼさないように、唇を薄く開けると、待っていたかのようにジョングクの熱が忍び込んでくる。
「…ん…ぁふ…」
柔らかい唇と、その先の熱に一瞬で体温が上がる。南国の果実とジョングクの香りに、僕はあっという間に酔っていくみたいだった。
「ぁ…ん…」
吐息が漏れてしまって、一瞬気になって、辺りに注意を向ける。引戸の向こうで、店員さんなのか、お客さんなのか、パタパタ歩く音がする。「注文いいですか?」と奥の席から声が聞こえた。
「んっ…ふ…」
人がすぐそこに…
こんなとこで…キス…
胸がばくばく言って身を固くしたら、ジョングクが僕の背中に回した腕を動かして、僕を抱き直した。酔っているせいなのか、ジョングクの体は僕の体より熱い。
「美味しい?」
唇を離したジョングクに、首を傾げて聞かれるから、答えようと思ったのにすぐにまた唇を塞がれる。
「っん…ふぁ…」
ちゅ、ちゅ、と唇の重なる音が漏れた。店に流れる音楽の音は、お店の雰囲気に比して意外と大きかったし、引戸もあるから外に聞こえるはずはない。だけど、何かの拍子に引戸が開いたら…と思うと、ハラハラしてぎゅっとジョングクを抱きしめた。
「ジミニヒョン…」
ジョングクは小さく笑って、僕の髪を撫でて、僕の唇を何度か甘噛みした。
「はぁっ…ぁ…あの…」
胸がうるさくて、唇を離してジョングクを見つめる。
お店に連れてきて、席に座るまでは僕のターンだったのにな…
口を尖らせると、ジョングクが心配そうに僕を見た。
「夜景見ながらお酒飲みに来たんだぞ?」
軽く非難めいた瞳を向けると、ジョングクも笑って、抱きしめていた僕を離すと、メロンリキュールのカクテルを一口飲んだ。