*BL妄想(ジョングク×ジミン)です

   苦手な方は閲覧ご注意ください

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*第1話はこちら



















Side JK








店は、繁華街の外れにあるビルの最上階にあるダイニングバーだ。ゆったりした席の配置と間接照明のやわらかな灯が居心地の良さを作りだしている。いくつか個室があり、そこへ通してもらった。個室は窓に向かって2人が座る形のベンチシートになっている。2人並んで座ると、ジミニヒョンとの距離が近い。窓からは、ソウルの街並みが見えた。



「うわあ…僕こんなとこ来たの初めてだ」



思わず口にすると、ジミニヒョンは満足気に微笑んだ。



「この前、連れてきてもらったんだ、あの、前話してたヒョンと…」




…むぅ。




名前が出たのは別グループの先輩だ。胸がじりじりするのを感じた。



「2人で来たの?」



強めの口調で聞いたけれど、ジミニヒョンはメニュー表を見始めてそちらに集中し、僕の言葉にトゲが含まれていることには気づいていないみたいだった。



「うん…あ、これ前来た時うまかったやつだ。飲もっかな…ほら、お前も」



ジミニヒョンはにこにこ笑いながらメニューを渡してくる。僕はまだ気になっていて、



「前も、この席に座ったの?」



と聞いた。



なぜなら、個室には引戸が付いていたからだ。閉めたら完全にプライベートな、誰にも見られない秘密の空間になる。実際今も、引戸をぴっちり閉めているせいで、僕らは2人並んで座り、気楽にしていられた。




窓の外は夜景で、

ぴったりくっついて座れる席…




こんなとこで、ジミニヒョンが別の男と2人…




想像しかけて、僕は内心首を振った。ジミニヒョンの行動を縛るようなちっちゃな男にはなりたくないから我慢しているけど、本当は、他の男と出かけたりしてほしくはなかった。僕の胸のモヤモヤなどよそに、ジミニヒョンは、にこ、と笑った。



「ううん、違うよ。別の席。前来たとき、この席が見えて…その…」



ジミニヒョンが、照れたように笑って言い淀む。



「今度ジョングギと来たいなあって…思ったんだよ」



「…え」



はにかんで微笑むジミニヒョンを見て僕の胸は、どきんと跳ねた。




ジミニヒョンといると、感情が忙しい…




「この席、素敵だろ?」



押し黙った僕を気遣うようにジミニヒョンは僕の肩をトントンと軽く叩く。



「…ん、素敵です…」



宿舎以外で、ジミニヒョンと2人きりでこんなお店に来ることはあまりないし、ましてや窓の外に夜景が広がる個室なんて初めてだ。件(くだん)のヒョンと来た時はこの席じゃなかった、と聞いて安心したら、今度は目の前の夜景と、隣のジミニヒョンの可憐さにテンションが上がってきた。少し勇気を出して、ジミニヒョンの体に腕をそっと回して抱き寄せる。



「あ…」



驚いたように僕を見るジミニヒョンの瞳は潤みを帯びていて、吸い込まれそうになる。僕は「ジミニヒョン…」と囁きながら顔を寄せた。ジミニヒョンも身じろぎせず、じっと僕を見つめる。







その時、トントン、と引戸がノックされて、僕もジミニヒョンもびくっと体を揺らした。



「失礼します。ご注文お決まりですか」



店員さんが声をかけながら引戸を開けたから、僕らは慌てて離れた。注文して、また引戸を閉めると、ジミニヒョンは笑い出した。



「ふふっ…焦ったぁ」



「びっくりしたね」



まだ胸がばくばくしている。ジミニヒョンは手を口元に持って行ってくすくす笑った。




…ちゅーすんのは、飲み物来てからにしよ…




僕はそう心に決めた。