BL妄想(ジョングク×ジミン)です
苦手な方は閲覧ご注意ください




「Kiss x Kiss」第1話 → こちらから☆
































Side JM







どうしよう…テヒョナの奴…



『キスの手前まで』って言ったのに…!



僕はドキドキして、身じろぎできずキスを受けていた。テヒョンを払いのけるべきだったのだろうけれど、動けなかった。男として、好きな人の前でかっこつけたい気持ちはよくわかったから。それに、テヒョンの恋はいつも移り気で軽く、こんな長く一途に相手を想うことはなかったように思う。だから少し協力してやってもいい、と思う気持ちもあって、僕はしばらくテヒョンに体を預けた。

テヒョンの手が僕の頰を撫でて、もう片方の手で僕を抱き直した時だった。部屋のドアが突然開き、ホソギヒョンの驚く声がした。


「わあ、何してんだ?」


「や、これは…」


焦って言い訳しようとテヒョンから身を離し、ホソギヒョンの方へ体を向けた僕の目に飛び込んできたのは、ホソギヒョンの後ろで引きつった表情で僕を見つめるジョングクの姿だった。


「グガ…あっ」


ジョングクは顔を歪めたかと思うと、途端に目を逸らし、止める間もなく自室の方向へ走り去った。


「ジョングガ!」


僕は2人を置いて、廊下に出た。ジョングクの姿は見えなくて、僕はジョングクの部屋の前まで行って、ノックして叫んだ。


「グガ!さっきのは違う!」


返事がない。僕は焦ってどんどんと何度もノックした。ドアノブを回すけれど、鍵がかかっていて開かない。僕はさらに叫んだ。


「違うんだよ!謝る!」


「…何が違うの?何を、謝るんですか?」


冷たい口調のジョングクの声が聞こえてきて、僕がますます焦ったとき、背後から声が聞こえた。


「ジミナ?どうしたんだ?」


通りかかったのはナムジュニヒョンだった。



ああ…ダメだ…



こんなところで話したらみんなにバレる…



「大丈夫です。ちょっと…」


無理やり笑顔を作ると、ナムジュニヒョンは頷いて、自室の方へ歩いて行った。


「グガ、開けて…部屋入れて?」


「嫌です」


「ここじゃ話せないから…入れてよ」


「嫌です」


ジョングクの口調はきっぱりとしていて取りつくしまもない。ジョングクの性格を考えて、僕はため息をついた。






こうなったらてこでも動かないんだ…




僕は諦めて、とぼとぼと自室に向かった。部屋に帰る途中、テヒョンが歩いてきた。


「ジミナ!」


「テヒョナ、ちょっと…お前の部屋行って話そう」


「へ?」


テヒョンの部屋に入るなり、僕は言った。


「なんでキスしちゃうんだよ…手前まで、って言っただろ?」


「ごめん…その、勢いで…」


しゅん、とするテヒョンを見ていたらそれ以上怒れなくて、僕はため息をついた。


「練習は…もういいよな?」


「あーっ…う…うん…」


残念そうなテヒョンを見ると、心が痛んだ。ジョングクとのことがなければ、キスの練習くらい…と思わないでもなかった。奇しくも僕が言ったように、僕とテヒョンの仲なんだから。でも、ジョングクのあんな姿を見たら、もう無理だった。僕はテヒョンの肩を軽く叩いた。


「頑張って」


僕が笑顔を作ってそう言うと、テヒョンはやっと笑顔になって頷いた。テヒョンの部屋を出ると、ジョングクの冷たい声が脳裏に蘇ってきて僕はまたため息をついた。