Side JK
ぐったりとベッドに横たわるジミニヒョンを抱き寄せる。
「ん…グガ…」
とろけたような甘い声で僕の名を呼んで抱きついてくるジミニヒョンをぎゅっと抱きしめると、さっきみたいに密着してすごく気持ちいい。髪を撫でてあげると、ジミニヒョンは照れたみたいに「ふふ」と笑って、気持ち良さそうに目を閉じた。
あー、すごい幸せだなあ…
幸せを噛みしめるみたいにジミニヒョンを抱きしめていると、突然ジミニヒョンはぱち、と目を開けた。
「最初のプレゼントは…気にいった?」
聞いた後、自分の言葉に照れたのか、笑って顔を隠すジミニヒョンが可愛くて、耳元に唇を寄せる。
「最高だよ」
その言葉に嬉しげに目を細めるジミニヒョンをまた抱き寄せようとすると、
「2つ目のことも今話していい?」
ジミニヒョンは言って、僕の答えを聞く前に身を起こした。温かいかたまりがするりと僕の腕の中から抜け出して、僕は少し名残惜しい気持ちになった。でもいそいそと服を羽織って冊子を持ってきたジミニヒョンを見るとすごく可愛く思えて、僕の頰はすぐ緩んだ。
「これなんだけど…ちょっと間に合わなくて…今日局で渡すよ」
「わあ、カッコいい…」
ジミニヒョンが指で指したのは黒いカバンだった。ファッションにそんな強くない僕でも、上質な素材でできているであろうことは一目でわかった。しかも僕にとって重要なことに、容量が十分大きそうだ。
「だろ?似合うと思って」
「ありがとう…ジミニヒョン」
僕がお礼を言うと、ジミニヒョンはまた盛大に照れて「へへ」と笑った。その笑顔が可愛くて、僕はベッドに寝転んだジミニヒョンを抱き寄せた。
「あれ使ってるだろ…カメラ入れるカバン」
僕の腕の中で、ジミニヒョンは体をひねって、僕のいつも使っているカメラカバンを指差した。
「カバンが届いたら、あれから荷物入れ替えような?」
「へ?」
「そしたらすぐツアーに持って行けるだろ」
僕は噴き出した。にこにこ笑いながら僕を見つめるにジミニヒョンを抱きしめる。
…本当にこの人は…
「図々しく」て、やっぱり最高だ。
僕はジニヒョンにもらったカバンのことを思い出して、「ごめん、ジニヒョン」と声に出さずに呟いた。
ツアーに向けて出国する日、イミグレに並ぶ僕の隣にジミニヒョンがやって来て、とん、と肩を合わせる。前後にはメンバーやスタッフさん達が並んでいる。
「そのカバン、カッコいいな」
ジミニヒョンは僕にだけ聞こえるような声でそう言って笑った。
「それ、どうしたんだ?」
何食わぬ顔でそんな風に聞いてくるから僕は噴き出した。
「もらったんだよ」
「本当に?そんなカッコいいカバンを?誰にもらったんだ?」
ジミニヒョンは芝居掛かった口調で大げさに驚いて見せる。そしてわくわくしたような瞳で僕を見た。
…図々しくて、可愛いなんて、最強だな…
簡単に答えてもつまらないから僕はとぼけた顔で「誰だったっけなあ…たくさんもらったから」とうそぶいた。ジミニヒョンは途端に口を尖らせて、
「ちゃんと思い出してよ」
とまた肩をとん、と合わせる。
「カバンがそんなにかっこいいんだから、贈った人もイケメンなはずだよ」
ジミニヒョンはそう言いながら途中で笑い出して、僕も笑った。
「そうだね…イケメンでカッコいい人、だよ」
僕がそう言うと、ジミニヒョンは目を見開いて足を止めて僕を見る。
「それに可愛くて…大好きだよ」
「ばっっ」
ジミニヒョンは焦って周りを見回した。
「こんなとこで言うなって」
「誰もジミニヒョンのことだとは言ってないでしょ」
僕が言うと、ジミニヒョンはカバンを指差した。
「もう…僕だろ!」
「結局、自分で言った…」
僕が噴き出すと、ジミニヒョンは「あ」と驚いた顔をして、次の瞬間、照れたように笑った。
…fin.