Side JM
「ひったくりを追いかけたの?」
僕の言葉を聞いた途端、ジョングクの顔が驚きの表情に変わり、徐々に眉が寄っていく。
ああ、まずい…
心配させちゃったかな…
「これ、そいつにやられたんですか?」
「違う違う、大丈夫…おばあさんがひったくりにあって、犯人を追いかけてるときに路地で何か物に当たったんだよ、たぶん」
ジョングクは眉をひそめたまま、赤くなった僕の わき 腹 をそっとなで た。
「結局カバンだけこっちに放り投げてきて、逃げられちゃった。心配ない、だいじょ…」
「もう…」
僕が身を起こしかけると、ジョングクは僕を抱 きしめた。
「心配ないわけないでしょ?」
労わるみたいに優しく抱き寄せられると、ドキドキする。
「それで、あんな遅かったんだ?」
「あ、ごめん…誕生日なのに」
「じゃなくて」
ジョングクは、「はあ…」とため息をついて、僕に顔を寄せて額を合わせた。
「ジミニヒョンに何かあったらどうするの?そいつがすごく強い奴だったり、向かってきたりしたら」
「大丈夫だよ。それにお前だったらどうする?おばあさんがひったくりにあって泣いてて、犯人がまだ見えるところにいたら」
ジョングクは、しばし考えるように固まった。
「犯人を追いかけます」
僕は噴き出した。
「だろ?しかもご主人にもらったカバンだっておっしゃってたから…余計…」
僕はプレゼントのカバンの写真が載ったカタログの冊子をちらりとみた。
ジョングクがあのカバンを、気に入って、大事にしてくれたらいいなあ、とぼんやり思う。
「そうだったんだ…ジミニヒョンが無事でよかった…」
ジョングクはもう一度僕を抱 きしめた。そして、いきなり僕のシ ャツのインナーのタンクトップをガバッと上までめくり上げた。
「わっ」
「ほかに怪我はない?」
「わわっ、グガっ」
タン クトップを 鎖 骨 までたくし上げられて、隠す間も無く全てがジョングクの目の前にさらされて僕は焦った。
「大丈夫、ないって…あっ…あ…」
ベ ッドに僕を再び押 し倒すと、ジョングクは僕の わ き腹 に唇をよせてきた。赤くなったところを、温かい熱でなぞられて声が漏れる。
「っグガっ…あぁっ…」
タンクトップをたくし上げていた手が上 半身の敏 感な場所に降りてきて、そこをくりくりといじる。そうされながら、ジーンズの履 き口にもう片方の手を忍び込ませられて、僕の体はびくっと反応した。
「ふあっ…やあっ…グガ…」
じかに触 れられた足の 付 け根のその場所がみるみるうちに硬度と熱を持つのがわかって、頰が熱くなった。
「他に怪我してないか、見てみないと…」
ジョングクはまじめに言っているのかおどけているのかわからない口調で言うと僕のジーンズのフ ァスナーに手をかけた。