ジョングクの奴、すっかりやる気になっちゃったんだな…
次の日、練習室で、僕は踊るジョングクを見ながら思った。
昨夜は一緒に宿舎に帰ったけれど、ジョングクは早々に自分の部屋に引っ込んでしまった。朝、練習室に来る時も出来るだけ顔を合わさないようにしているのか、挨拶さえも素っ気なくて、僕は自分が言い出したことなのに寂しくなった。
ジョングクがそのつもりなら…
僕は企みを一つ企てて機会をうかがった。練習の合間、皆で1つのモニタを覗き込む時、チャンスがやってきた。モニタを覗き込みながら、ジョングクの引き締まったたくましい背中に抱きつく。ぴく…とジョングクが反応するのがわかった。

あ…やばい…ジョングクの香り…
1日ぶりに抱きしめたジョングクの香りにくらりとなる。
一日触れ合っていないだけで…こんなふうに思うなんて…
ジョングクは僕の方をちらりと見て口を尖らせたが、前に回した僕の手をぎゅっと握ってくれた。
Side JK
もう、ジミニヒョンてば…
後ろからくっついて来る温かいかたまりに胸がどきん、と跳ねる。
禁欲中の身に…ジミニヒョンの香り、つらい…
明日も練習あるのに…
しかし、後ろからぎゅっと抱きしめられると、その温もりに抗えない。僕は抗議のために口を尖らせて見せると、ジミニヒョンの手を握った。
休憩時間に、僕は練習室に座るジミニヒョンの隣にそっと座った。
「ジミニヒョンずるい」
「何が」
とぼけているけどジミニヒョンの口元が緩んでいる。照れ屋なくせに、こんなときあざといんだから。でももっと厄介なのは、あざといくせに、純真で照れ屋なところ。僕はいつも振り回されていて、内心のドキドキを隠すのに必死なんだから…
「あんな…されたら…」
「俺、なんかした?」
にこにこ笑って言われるから僕は脱力した。
「抱きついてきたじゃないですか」
「ふふっ…抱っこしてほしいのか、グガ!」
「わっ」
勢いよく肩を引き寄せられ、ジミニヒョンの胸の中に抱きすくめられて僕は慌てた。
もう…この人は…
「子供扱いしないでよ」
少しむっとして言うと、ジミニヒョンは「ふふ…」と困ったように笑った。その微笑みを見ると、いつもみたいに抱きしめて、押し倒して、ふたりの時間にしたくなって、僕は途方にくれた。
「とにかく、ずるいことするのやめてくださいね」
そう言い放ってぷいっとそっぽを向く。ジミニヒョンが寂しげな顔したのが目に入ったけれど、後には引けなかった。
ああ…僕ってやっぱり…子供じゃないか…