側に立っているのは…
その姿を見た途端、ジミンはカメラの電源をオフにしてそこへ置くと、ジョングクの手を取って駆け出した。
「ジミ…」
「しっ」
ジミンは倒れた男をちらりと横目で見て、走りながら人差し指を唇に当てた。その指も、唇も、不思議な色っぽさがあって、ジョングクは状況を忘れて一瞬見惚れた。
「っはぁっ…バカっ」
廃校の外へ出て、肩で息をしながらジミンはジョングクへ振り向いた。
「付いて来ちゃダメだろ」
「だって…心配で…」
ジョングクは心配そうにジミンの体に目をやった。
「大丈夫?触られましたよね?」
「平気」
そう強がっていたものの、暗闇の恐怖と男の手の気持ち悪さでジミンの脚は震えていた。ジョングクはそれを見て顔をしかめると、ジミンに近づいてそっと抱きしめた。
「ジョングガ…」
さっきまでの恐怖が嘘みたいにすうっと消えていく。ジミンは体の力を抜いて、ジョングクに預けた。
「僕以外に…触らせないで」
甘えるような懇願するような、しかしそれでいてきっぱりと命じるようなジョングクの声に、ジミンの胸はどきんと鳴った。
「ね、約束してください…僕以外に触らせないって…」
「じゃあメンバーは?」
ジミンがいたずらっぽい笑顔を浮かべて聞くと、ジョングクはむうっと口を尖らせた。
「ヒョン達はセーフです。ギリギリ」
「ギリギリなんだ」
ジミンは噴き出した。そしてそっと体を離し
「…何発入れたの?」
恐る恐る聞くと、ジョングクは表情も変えず、「3発だけですよ」と答えた。きっと急所ばかりなんだろうな…と思うとジミンの背筋は今度はひんやりしていくのだった。
「あ、やば」
ジミンが声を上げた方を見ると、スタッフ達がこちらへ走ってくるところだった。
「ジョングガ、先にこっそり車帰ってて」
