現在まで、美術館を訪れたのは、僅かに二度。
そのどちらも、思い出に残る良い経験でした。
最初が、陰陽師、安倍晴明にまつわる展示でし
た。
NHKの「陰陽師」稲垣吾郎主演。これが大好き
で、毎回、見ていました。そして、夢枕獏さんの単
行本も、買い揃えていったのでした。
初めての美術館という、晴れがましさと、目の前
にある、この独特な世界。次々と、興味をそそられ
る物ばかりでした。
そして、二回目が、「ウルトラQ~ウルトラセブン
(第1期ウルトラシリーズ)」の展示でした。
防衛チームの飛行機のミニチュア、制服、あの有
名な、ウルトラセブンでの、卓袱台を挟んだ、モロ
ボシ・ダンとメトロン星人のセットでは、写真撮影も
OKでした。
そんな中、一際、僕が心を奪われたのが、ウルト
ラセブン最終回「史上最大の侵略」の、金城哲夫
さんの、直筆原稿でした。
青いインクで書かれた、あの、不朽の名シーン。
沖縄出身の金城さん。沖縄の日本復帰を4年後
に控えた時期。円谷プロ、ウルトラシリーズを支え
た、プロデューサー的立場でもあった彼の、当時
の同プロでの立場、TBS側のプロデューサーとの
考え方の相違・・・そういった、諸々のことが彼を
追い詰めていったのか、彼は、その年、遂に、帰
郷するのです。
そんな当時に書かれた、この脚本。胸が熱くなり
その場を離れられませんでした。
そして、兄と慕っていた、円谷一氏の、若過ぎる
死。彼が復活させた新たなウルトラマン、「帰って
きたウルトラマン」に遺した重要な1本が、金城さ
んの最後の脚本。金城さんも、38歳で早世。今年
始めには、同郷の上原正三さんもお亡くなりになり
ました。
M78星雲光の国は、どんどん、僕から遠ざかっ
ています。現在の「ウルトラマンシリーズ」は、僕の
考える「ウルトラシリーズ」とは、かけ離れた物に
成り果てています。嫌悪感さえ抱いています。