雨の週末、春を待つ植物たちに恵みをもたらす雨。季節の変わり目、様々な変化にも身体が敏感になる。昨日は啓蟄。暖かくなった土の中から、冬眠していた虫が動き出すことを言う。二十四節気の一つ。
今日は、3月下旬からスタートする体験農園の交流会が開催された。
東京都農業委員会が中心となって、都市近郊にある農地、農家を守ろうという主旨のもと、農家が地域住民に農園を開放し、農作業や収穫体験を味わってもらう「体験農園」。全国47箇所で行なわれているという。
「国の方針は都市部の耕作放棄地を宅地や商業地に転換していく施策のようだが、都市近郊の自治体は、いかに農地を残すかを考えて、努力している・・・」と市役所の方が挨拶してくれた。
府中市で、アンケートをとったら、農地を残してほしいかという問いに90%の人が残してほしいと回答があったそうだ。
こういう考え方が市民の中心にある町に引越してきて良かった。
ゴミもこの2月から有料化されたが、その結果、ずいぶんダストボックスに入るゴミの量が減った。
できるだけ、ゴミを出さない、増やさない努力を各家庭がしているということだろう。
市の中心地も道路にゴミが撒き散らされているという状況をほとんど見たことがない。
自分の家の周りと同じ感覚で、町を大切にする人が多いからだろう。昔から、ここに住んでいるという人が多いのも、町を愛する人が多いとういことのように思う。
さて、今日の体験農園の開演式。農園主のお人柄もよく、農業についてのお話も丁寧でわかりやすかった。
できるだけ無農薬、有機栽培をするにはどうすればいいか。人間も元気な身体は病気になりにくいといわれるように、苗の時期から唐辛子を利用した抽出液や牛乳、食酢などを撒いて、防虫していきたい。
農園内に雄を呼び寄せるフェロモン効果のある装置4箇所に置く。雑草は早めに抜く。釣り糸を土壌に貼って、カラス対策をするそうだ。
「それでも食べられたら、仕方がないと思ってください」と園主は笑って言った。
人間だけが生きているわけではないので、ある程度のことは仕方がない・・・というのはもっともな話。
さらに今回参加した29組の方たちとの交流もほのぼのとしていた。みんなベランダやお庭で自分流に野菜や花を育てている人たち。とってもゆったりした温かなムードが流れていた。
少しずつだけど、こういった取り組みが広がっていくのは嬉しい。
都市近郊は、ちょっと不便だけど、環境はいい・・・ということを受け入れて、生活している人たち。すべてを便利にしてほしいと思っていない人が多い(ように思う・・・)。
家の周りは狭い道路ばかりで、年度末の道路工事なども少ない。
小規模農家や自営業が多いから、良くも悪くも細々と・・・という家庭も多い。
それでも家族が仲良かったり、この少子化時代に、3人は当たり前。4~5人兄弟がいる家庭も珍しくない。
先日、小4の息子たちの保護者会行事、1/2成人式に、学区内の校長が挨拶にきてくれた。
その時の話の中で、「私のいる中学では、天才児を育てる教育も超有名なスポーツ選手を育てる教育もしていません。普通の子どもたちが普通に育っていける環境を作りたい」と話してくれた。
ここ数年、中学受験は過熱し、私立へ行かせる親が増える中、地元公立中学への批判は決して、少なくない。でもそこに、確かに、親のエリート思考が、子どもを学校を教育を変えている面も否めない。
この町が住みやすいのは、私が私が・・・という独占欲や私利私欲が少なく、周りの環境と調和しながら、ゆったりと暮らしたい・・・という人が多いからなのかもしれない。
普通に暮らすことの大切さ・・・を今さらながら思い知らされる。
今日参加していた人たちの穏やかな表情を見るたびに、この町の高齢者が元気なのも、なんだかうなずけた。
となりに座られた年配の女性が、「子どもに愛情をかけなくてよい年齢になったので、植物を育て、愛情をかけようかしら・・・と思って」。そのやさしい語り口がとっても心に残った。
まじめに生きていく人たちには、素敵な人生が待っている。それは特別な勲章でもなく、栄誉でもなく、心の平穏なのかな~と、改めて思った。
この町には、争いは起こりそうにないな~~。そんな幸福感をしみじみと味わえた時間でした!