昨日は、三遊亭楽太郎師匠としての最後の独演会。来年はいよいよ「円楽」襲名のカウントダウン。


「笑点」の本をやらせていただいて、できた縁。楽太郎師匠ってのは、粋で、意気で、絶対に努力の陰を見せず、いつも飄々としたいい男。



骨太という言葉からはもっとも縁遠そうな風貌なのに、一人で東西の落語家を集めて、博多で天神落語まつりなんてのを仕掛けてしまう男気もある。


「落語の未来のために・・・」と、一肌も二肌も脱ぎ、あちこちを駆け回り・・・こんな大きなイベントを実行してしまう。



師匠円楽が、若手育成のためにと私財投げ打って作った「若竹」。師匠と弟子って心意気まで受け継ぐもんなんだな~。


そして、その博多天神まつりの初日、円楽師匠は亡くなった。一瞬にして、世の中の人の目を「落語」に向けさせた瞬間だった。まるで楽太郎師匠のイベントにドデカイ花を添えるかのように・・・。この絶妙な機に私は泣きました・・・。


そういうところに、ぐんぐん引き込まれる。人間と人間の深いところでのつながり。業の深さ、欲の深さを全て飲み込んで、馬鹿っぱなしで笑い、人情で包み込む落語とそれを演じる落語家さんたちの生き様。



そして、今夜の舞台。前座は、なんと楽太郎師匠の息子、三遊亭一太郎、ゲストは歌丸師匠、そして、楽太郎師匠の最後の演目が「芝浜」。円楽師匠の十八番だ。もう、出来すぎたラインナップに、心震えちゃったよ。


楽太郎師匠の人生そのものを見せられているようで、そして、亡くなった師匠の芸を引き継ぐってことの重みを受け止めながら、その心中は・・・って考えると、それだけで泣けてきちゃた・・・。


目に見えない心のつながり・・・その素晴らしさをひたひたと実感した、そんな夜だった。




受付をしていた若き敏腕マネージャーの頑張りっぷりも、周りで支えるスタッフたちの笑顔も、みな温かだった~。


楽太郎師匠の「芝浜」も良かったけど、何より、あの会場に流れていた空気がよかった。



こういう空気に出会えるのが生の良さ。この瞬間に立ち会えた私は幸せ者だと思うよ!



昨日の夜も冷え込んでいたが、私の心の中はなぜか、いつまでもぽかぽかと暖かだった~。