星が語る『Star』~Astrology Cafe~ -10766ページ目

三島由紀夫の『鹿鳴館』を劇団四季が演ずる

三島由紀夫の『鹿鳴館』の劇団四季公演をNHK教育で放送していました。


三島の本を演ずるということは、そのまま、台詞を大切にして、演ずるということです。ことばのひとつひとつを大切し、いかにも三島らしい、輝やかしくも浮世離れした表現を、演者以上に際立たせることが、重要なのでしょう。


三島が好きか、という問題になると、ビミョー、と言わざるを得ないのですが。


主演の影山悠敏伯爵は、日下武史氏でした。


ということは、影山伯爵は、劇団四季の『鹿鳴館』においては、絶対的に重要なキャラクターだとみて間違いはありますまい。


影山伯爵夫人朝子が、影山の政敵である清原永之輔との間に、絶対の信頼を寄せ合っている事実に対して、影山は「ばかばかしいことだ。人間はあなたと清原のやうに、無条件で誓ひ合つたり信じ合つたりしてはならんのだ。ありうべからざることだ。人間の世界に本来あつてはならんことだ」と、言いますが、これを、単なる嫉妬としてとらえてしまうと、影山は、どこかに人間らしさを隠し持っていることになってしまい、三島の作意に沿わないように思われます。


影山は、朝子が今でも清原を愛しており、自分たちは完全に、夫婦を演じているだけだと、とっくに認識していたにもかかわらず、清原の一子久雄が、実は、朝子が産んだ子であったことを知った時「ふむ・・・あいつは良人の私を利用して、自分の過去を残らず救つてのけようと謀つたんだな」と、静かに抑圧的に激怒し、その激怒は「たとえ私の命令で清原を殺すにしても、その間には別の感情の屈折が欲しいのだよ。久雄の悩み、久雄のためらひ、さういうものが十分あつて、その上であいつが父親を殺すのでなくては物足りんのだ」というところまで高められます。


影山と、いかなる経緯で結婚したのかは別として、清原と別れ、久雄を捨て、影山伯爵夫人としての生活を享受していた朝子は、結局のところ、影山と同じく欺瞞に満ちた人物であり、この夫婦は、実は似た者同士であり、その似た者同士が互いにしかけた欺瞞のたくらみが、終幕に至って破局をもたらすことになります。


その場合、そもそも悲劇を体現している影山伯爵が、破滅することなどありえず、欺き踊り続ける人生を、迷うことなく全うしていくことは疑うべくもありません。


現に彼は、終幕で朝子に対してこう言って聞かせます。「こういう欺瞞が日本人をだんだん賢くして行くんだからな」「たぶらかすのだ。外国人たちを、世界中を」「私は一生こいつを踊りつづけるつもりだよ」


日本人が、似合いもせぬ西洋の衣装に身を包み、慣れないワルツをだたどしく踊ったということの意味、急激な欧化政策の意味を考えると、これほどの欺瞞はなく、この欺瞞は、影山の欺瞞でもあるはずで、その意味では、みずから欺瞞に満ちた人生を、脱亜入欧のために自覚的に引き受けた影山が、みずからの欺瞞に目をつぶり、影山を利用して自分たちの過去を残らず救ってのけようとした朝子と、その欺瞞の上に朝子との信頼を構築してはばからない清原に対して、徹底的な激怒の感情を抱くことは、むしろ自然でさえあるように思われます。


カーテンコールで、舞台中央に、巨大な三島のモノクロームの写真が屹立しているのを目にした瞬間、驚愕の余り、以上のような感懐は、一気に雲散霧消し、浅利慶太恐るべし、影山はやはり三島だったか、てことは、私は、三島を肯定したのか、と、再度愕然とさせられた次第です。


三島由紀夫 こんな感じで、どーん、と。


IKKO嬢ではありませんが、どんだけ~、てな気分でした。(;一_一)まいった。

『ダニエル・へニー』について星は語る①


ダニエル・ヘニー ネイタルチャート

NHK地上波で放送中の『春のワルツ』に出演している俳優、ダニエル・へニー氏についての西洋占星術的な考察です。


出生時間が不明ですので、いったん正午生まれとして、ソーラーサインハウスを採用してチャートを算出します。


困ったことに、彼の出生の月は、午後0時16分に牡羊座に入座します。午後0時15分までの生まれならば魚座の月、午後0時16分以降は牡羊座の月です。


これは、彼の性格に決定的な違いをもたらす大きな違いです。


魚座の月であるのか、牡羊座の月であるのかの議論はひとまず措いて、チャートの特徴を考えると、まず目につくのは、乙女座の土星とオポジションを、射手座の太陽とトラインを、形成する月です。


月と土星のオポジションは、自分を証明するために、他者よりも一生懸命に働く人柄をもたらします。子ども時代の不幸を示唆することもありますが、ダニエル・へニー氏がアジア系のあまり多くないミシガン州出身であることや、韓国人の母が幼いころに米国人の養子となったことなどから、両親との間の葛藤ではなく、母から受け継いだアイデンティティについての葛藤ではないかと思われます。


アジア圏でトップモデルであったダニエル・へニー氏は、『春のワルツ』出演以前に、高視聴率ドラマ『私の名前はキム・サムスン』に出演し、『パーフェクト・ガイ』と呼ばれて、俳優としても脚光を浴びることになります。『キム・サムスン』で、彼は、自身の立場と同じく、母が米国人の養子となった韓国人であり、欧米人の父親とのハーフであるという役柄を好演しています。この時点で、韓国で仕事を始めて数カ月であり、韓国語がほとんど話せなかったことを思うと、彼が、ひとかたならぬ努力の人であることが解ります。


『春のワルツ』でも、安東の旧家である母の実家を訪ね、祖父から排斥される孫を好演しています。アイデンティティの葛藤はここでも描かれ、幼くして母を失っただけではなく、目も鼻も身体も半分、という苦しみに涙する姿は、演技を超えて胸を打つものがあります。祖母から『私の孫、会いたかった』と抱きしめられたときに、彼が流した涙は、見るものの心を揺さぶると思います。ダニエルは、完全にフィリップであり、虚構の人物が、実在の人物と完璧に一致した瞬間であると思います。


『春のワルツ』では、ソ・ドヨン氏演ずる『イ・スホに戻りたがる心を抱いたユン・ヂェハ』の苦しみを理解し、『スホでもチェハでも』どちらでも自分の親友だと言い切るフィリップであるためには、フィリップ自身の二つの相反するアイデンティティは不可欠であり、その意味でも、ダニエル・へニー氏は、得がたいキャラクターであったと思います。


ダニエル・へニー氏は、『春のワルツ』以後、映画『ミスターロビンの口説き方』で初の主演となりますが、現在、撮影中と伝えられている映画『マイファーザー』は、彼のキャラクターがあってこそ成立するような映画です。社会性の強い作品のようで、日本でもこういう硬派な韓国映画が公開されればいいのですが。


ダニエル・へニー氏の趣味はギター演奏、バスケットボール、読書、旅行、運動、ハイキングということですが、いずれも、非常に射手座的な趣味であると思われます。また、語学の習得の早さも、射手座的であり、太陽が月とトラインであることの有効性を実感します。


2005年は、彼の天秤座の冥王星を、2006年は、彼の蠍座の水星・天王星を、通過の木星が照らしていました。冥王星に対する木星の作用が、自身の先祖による恩恵と考えれば、母の母国、韓国での成功は納得できます。また、水星・天王星に対する木星の作用は、コミュニケーション・異文化という要素、つまり、米国の文化の中で育った彼の、容姿やことば、ふるまいや表情など、どこか異邦人と感じさせる部分をいいかたちでアピールすることができたことによる成功を意味していると思います。実際、ユン・ソクホ氏は、ダニエル・へニー氏の表情に、かつてない新鮮味を覚え、本来のキャストの予定になかったにもかかわらず、彼の役柄を作ったと語っています。そして、そのことは、『春のワルツ』においても、ダニエル・へニー氏にとっても成功であったと思います。


現在、木星は射手座を通過中ですが、これは、彼の太陽・海王星を照らしています。異邦人的であることで、母国で成功するというスタイルは、今年のうちに完成することになるのではないかと思います。


これは、彼の宿命的な要素ですが、韓国でも米国でも、同じように異邦人的なキャラクターで成功することになるように思います。映画での成功はハリウッドへの道を開く可能性もあります。自分の二つの母国で、どちらでも異邦人として見られる、という宿命が、彼に成功をもたらすことになるわけで、土星と月のオポジションが、太陽をセクスタイル・トラインで援助する、という配置のエネルギーが、そういうかたちで具体化してくるのかと思います。

『ソ・ドヨン』について星は語る①


ソ・ドヨン ネイタルチャート

NHK地上波で放送中の『春のワルツ』に主演している俳優、ソ・ドヨン氏についての西洋占星術的な考察です。


出生時間が不明ですので、いったん正午生まれとして、ソーラーサインハウスを採用してチャートを算出します。


まず目を引かれるのは牡羊座に水星・火星・太陽・金星の4天体がステリウムを形成していることです。ソ・ドヨン氏は、大学に在学中に兵役を終了していますが、兵役に就いているころは、規律正しい軍人の姿に感銘を受け、自らも、訓練する立場の助教という地位を獲得したそうです。実用としての肉体の鍛錬を好む、あるいは、軍人・制服というものを好む資質がそのまま反映されています。牡羊座的な気質の非常に強い人物であると思われます。


彼は、かなりの長身ですが、家族はそれほど背が高いわけではないとのことですから、ソーラーサインハウスのように、水星が第1ハウスにあるならば、一族の中でもっとも長身であるということの説明になると思います。


韓国は教育熱心な国ですが、医者になることを期待されていて、大学では、とりあえず生物学を専攻するつもりであったということ、現在は、俳優であるということを考えると、水星は、第1ハウスにあるような気がします。


2003年に兵役を終了し、同時に、モデルの道を歩き始めます。


2003年ごろ、土星が天底通過していたならば、この時期から新たな道を進むことができるはずで、アセンダントが牡羊座、天底が蟹座ではないかという気持ちはますます強くなるばかりです。


こうなると、天頂は山羊座ですが、彼が、カトリックの信者であることを考えると、第9ハウスが射手座、第10ハウスが山羊座であることに何の抵抗もありません。


次に目を引かれるのは、火象サインで形成される、グランドトラインです。火象サインのグランドトラインは、多大な自信と、肉体的な活動、熱中、ドラマティックな能力と、非常に外向的な性質、強い知覚力、他者を鼓舞する能力を与えます。しかも、獅子座の月と、射手座の海王星が、牡羊座の火星・太陽・金星とグランドトラインを形成するわけですから、これは、彼をたやすく人気者にする資質であり、実体のないもの・幻想・芸術を自分の感覚を通して自然に、かつ、ドラマティックに、肉体でもって表現する資質でもあります。また、共演者から、感情移入の素晴らしさを絶賛されていましたが、役柄を理性で理解してしまうと、その役柄になりきることができるタイプであると思われます。感覚だけで演じるわけではなく、理解を必要としますが、ひとたび理解してしまうと、その人物になりきる能力を持っているように感じます。


ソーラーサインハウスの通り、海王星がカルミネートしているならば、魚座的な容貌を持つことになります。四季シリーズのプロデューサー、ユン・ソクホ氏が、最終作『春』の主演のソン・ユリ嬢が降板すると言っても(現実に、彼女は降板し、ハン・ヒョジュ嬢が主演にキャスティングされたのはオーストリア・ロケの一週間前という状況でしたが)、ソ・ドヨン氏の主演起用にこだわったのは、彼の目の深さと、クラッシックピアニストらしい外見に、ユン・ソクホ氏が惚れ込んだためだと言われています。


実際に、ソ・ドヨン氏の多彩な『涙』の演技は、素晴らしいものがあり、あまりにも、彼がボロボロ泣くために、スタッフが心配したほどであったというエピソードを思うと、魚座的な資質である、大きく潤んだ美しい瞳と、ミステリアスで芸術的なイメージが、彼の外見的特徴のひとつであると言えるように思います。


初主演作『春のワルツ』で、秘密の過去を持つピアニストを、その次の主演作品『物忘れ』が、トラウマから重度の健忘症に罹っている画家を演じているのは、彼の個性を活かせる役柄のイメージが、海王星的なものであるからではないかと思います。


出生時間が、ここまでで予想してきた、ソーラーサインハウスに近い、午前5時ごろであるならば、月は獅子座の22度であり、よりタイトに、牡羊座の3天体とトラインを形成します。


ユン・ソクホ氏が、人気アイドル・女優のソン・ユリ嬢を切ってでも守り通した、『主演ソ・ドヨン』でしたが、視聴率は厳しいものがありました。しかも、撮影中の2006年4月11日未明に、ダニエル・へニー氏と殴り合う場面の撮影中に、誤って、顔面を負傷し、あわや、放送中止というような局面もありました。顔面の怪我という、俳優生命の危機にさらされることになったのです。


2006年4月14日、ソ・ドヨン氏は25歳の誕生日に手術を受け、幸いにして、大きな傷も残らず、一週間の放映の中断があったものの、『春のワルツ』は、完成されることになりました。視聴率の低迷したこの作品の後、ハン・ヒョジュ嬢は主演の『空くらい地くらい』が高視聴率番組となったのに、ソ・ドヨン氏は『物忘れ』一本しか作品がなく、非常に不遇な印象を受けます。


彼が、ユン・ソクホ氏から抜擢を受けたのは、2005年の夏ごろです。この時期、土星は獅子座に入座し、彼の月が影響を受け始めました。直接の影響を受けるのは、まだ先になりますが、このころから、2006年の春ごろまでは、蠍座の木星と、水瓶座の海王星が、彼の月と、タイトなT字クロスを形成していました。感情的には、非常に厳しく感じる、何らかの具体的な事象が生じることになりがちで、その一端を視聴率と事故が担ったということになるのかもしれません。トランジットの土星は、現在、彼の月の上を通過しつつあり、そのために、運気は上昇に転じてはいても、個人的な感情の強い抑圧があるために、自信喪失や、外向性の欠如といった状況が継続しているように思われます。本来、せっかちなタイプですから、仕事が決まらないこと自体がストレスでしょうし、賞賛を必要とするタイプですから、評価が低いということ自体が更なるストレスとなっているのが現状ではないでしょうか。今年の9月以降、彼にとっていい仕事が新たに決まり、その結果、評価を受け始めることになるのではないかと思います。今年の秋から来年にかけては、かなり期待できそうな気がします。


事故ということだけを取り上げるならば、2006年4月11日はトランジットの太陽が、ソ・ドヨン氏のネイタルの火星にほぼコンジャンクションしている上に、トランジットの火星が、ソ・ドヨン氏のネイタルの海王星にオポジションでした。彼の怪我を誘い、同時に、彼の容貌を傷つける動きが起こるというタイミングでした。


トランジットの火星は、彼の容貌に対して、手術でメスを加えることになるという意味もありますし、トランジットの太陽は、彼の自我と人気も照らしつつ通過しましたから、放送打ち切りや、俳優生命の終焉といった、ネガティヴな結果にならずに済んだのは、当然であった、ということになります。


ソ・ドヨン氏は、日本での放送のために、主題歌を歌っています。この歌を聴く限り、非常に音感のいいタイプであるようですが、これも、天頂に近い海王星の作用であるように思います。