ワタクシが、生まれて初めて読んだ純文学作品は、北杜夫の「幽霊」であった。正確には「幽霊―或る幼年と青春の物語」である。父の書棚には、何でもあった。もっと、軽い感じの作品を想像して読み始めたのであったが、予想を裏切る、不思議なテイストの小説であった。どこか悲しかった。この作品の一節をモチーフに、学校で図工の版画を彫った。小学5年生には、難解であったが、完全に、北杜夫に「嵌まった」のである。そのときから、ワタクシの人生には北杜夫がいた。
そして、今、北杜夫がいなくなった。
違いが分かる男だったのに。
寂しくて仕方がない。
このホロスコープについては、稿を改めて斉藤茂吉のホロスコープとともに解説する。