カードは何でも知っている | 星が語る『Star』~Astrology Cafe~

カードは何でも知っている


三枚にて完結


とてつもない偉業を成し遂げつつあるお客さまと、修理のお品をお渡しするということで、密談的な場で、お茶を。


その折、ご自身が、とんでもない偉業を成し遂げつつあることを、理解しつつも、未だ、懐疑的なお客さまのために、カードリーディングを試みる。


マルセイユ版のタロットは、フランスのタロットリーダーたちの間では、視線を追う、解決カードを置く、というリーディングが一般的だ。


そうなると、三枚レイアウトしても、視線の先にカードがなかった場合は、そこにカードを補わなくてはならず、また、逆位置のカードには解決カードが必要となり、そこに視線が生じると、視線の先に、さらにカードが必要となり……という具合で、三枚で完結することなど、ほとんど期待できない。


三枚がすべて正位置で、視線が完結した場合のみ、三枚でのレイアウトで終わる。それは、問いに対する答えが「イエス・イエス・イエス」(古いな……)であるということを意味する。


すなわち、めでたい。


しかも、三枚で完結するとはいえ、「吊られた男」や「神の家」(ライダー版系では「塔」)などでは、なんとなく、うれしくない。


お客さまについて言えば、写真のようなカードの配置になり、めでたく、偉業の達成は保障された。


最初のカードはステージの上に立つアンドロギュノスという感じで、これもまた、素敵。


現在のカードは、書物を持っており、これまた、素敵。しかも、視線の先には、過去のアンドロギュノス。


少なくとも、過去、現在のカードは、正しく、お客さまの状況を示していると、これはお客さまもお認めになった。


それならば、カードが示す未来の正しさも担保されたようなものだ。


未来のカードは、状況を自らがコントロールしており、これまた、素敵。現在のカードには、翼がなく、過去の翼を見ているようにも思えるが、実は、現在の椅子の覆い布と見えたものは、未来で、翼であったことが明かされる。さらに、現在は、座っているが、未来では、立ち上がっており、翼で飛び立つことさえできる。髪も縦巻きロールだし、花なんかつけたりもしている。現在と未来は、ガウンの色やデザインまで、似ている。同一人物の変容と観て差し支えない。


しかも、未来の人物の視線の先には、現在の人物の横にある、卵。


カードリーディングの素晴らしい点は、どのように見えたかを素直に受け取れば、誰にでも可能ということにつきる。必要なカードが、選ばれ、用いられる。このデッキを、鞄に入れた段階から、リーディングは始まっているとさえ言える。


「しかも、未来は、現在の『卵』観てますもんね。あんた、ちゃんと、卵、持ってるやん、って」


これは、当のお客さまのことばである。


これで、完璧。自身の状況を、正しく、客観的に把握したということで、お客さまの偉業が達成されるのも、時間の問題。


カードリーディングって、楽しくって、本当に素敵。