地のはてから(上) (講談社文庫)/乃南 アサ
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地のはてから(下) (講談社文庫)/乃南 アサ
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はぁ・・・
止まらなかった・・・
ページをめくる手が
『ツリーハウス』以上に。
夢中で むさぼり読んだ。
時は 大正の初め。
所は 福島の山里。
貧しい生活を送っている三人家族がいた。
父 作四郎は、比較的裕福な農家の四男坊。
甘やかされて育ち、世間知らずなところがある。
理屈ばかりこねて、ろくすっぽ田んぼ仕事も手伝わない。
本家を継いだ長兄に、ちょくちょく小遣いを無心している。
しかし家族の生活は顧みない。
母 つねが、本家に足を運んだりして
なんとか食料を調達し、食いつなぐ生活。
時代が明治から大正に代わり、大きく変わりつつある日本。
ある日、作四郎が
「俺は、この時代の波に乗り遅れんめぁど、思ってんだ。」
と、つねにはさっぱり訳の分からない事を言い出し、
家族を置いて、東京へ出て行った。
そんな 父親不在の時に、長男 直一の妹 “とわ” が生まれた。
この “とわ” が、主人公だ。
作四郎は、何度か東京から戻って来た。
親戚たちから放蕩息子(できそぐね)と陰口を叩かれてきた作四郎だが、
その羽振りがよさそうな様子に、
「一家でもっとも早く東京に出て一旗揚げてきた」
と親戚中が褒めそやした。
しかし、とわが数えで四歳になった頃、とうとう作四郎はやっちまった・・・。
株で大損して、夜中にこっそりと つねの元へ帰ってきた。
本家の長兄から託された大金もスッカラカン。
それどころか、借金取りに追われている。
今回ばかりは、長兄にも泣き付けない。
「んじゃがら言わんこっちゃねえ」
つねはこの言葉を呑み込んだ。
「んじゃがら言わんこっちゃねえ」
この後の人生、つねは何度もこの言葉を呑み込むことになる・・・。
そして、作四郎から、北海道へ開拓移民として移住すると告げられる。
実は作四郎、新たな突破口を求め、
移住計画は数ケ月前から練っていたと言う。
「あんたってゆう人(しと)は・・・」
『北海道移住手引章』なるものを手にし、簡単に開墾できると思っている作四郎。
「そうだ旨(んま)い話なんと、あんのがえ」
つねには信じられない。
しかし、作四郎に押し切られるように、
一家四人は、借金取りから逃げるために、夜逃げをする。
そして移民団に合流し、
つね曰く、熊しか出ないような山深い蝦夷地へと向かう。
ここまでは、母つね が主人公と言ってもいいと思う。
私にとっては、つね も第二の主人公だ。
つねが居てこその、とわだと思う。
-そして、未開の北海道で、自然と共に逞しくのびのびと育ち、
働き、嫁ぎ、子を産み、育て上げた とわ の半生記が始まる-
とわ も、夫には余り恵まれなかった><
しかし、「もう夢など見ない・・・」
と自分に言い聞かせ、歯を食いしばり耐える。
-生きて、生きて、生きる。それがすべて。
-思い通りにいかない人生。
深呼吸の一つでもして、あとは時をやり過ごす。
そんな時には、笑っているより他、出来ることもない。
実は、この “とわ”
以前紹介した『ニサッタ、ニサッタ』に登場した
いつもニコニコしていた、主人公の祖母なのだ。
あの、慈愛に満ちた雰囲気のおばあちゃんは、
こんな人生をくぐり抜けてきた人なのだなぁ・・・と納得した。
あ、“ニサッタ” の意味は、アイヌ語で “明日” と言う意味らしいです