私は看護師として働いていた頃、準夜勤を終えて帰宅する途中で、性的被害に遭った。

その出来事は深いトラウマとなり、しばらくは外に出ることすら恐ろしくて仕方なかった。


数年が経ち、ようやく人に話せる程度まで心が回復したころ、私はその出来事を母に打ち明けた。

しかし返ってきたのは、私を責める言葉だった。


「どうせ夜に繁華街とか歩いてたんでしょ!💢」と怒鳴られたのだ。


私は、ただ準夜勤を終えてまっすぐ家に帰る途中だった。それだけだ。

看護師や医師が夜勤をこなしているからこそ、医療は24時間体制で成り立っている。

その現場を支える一人として、当然の仕事を終えた後に被害に遭い、心身を傷つけられた上に、今度は母親から「夜に出歩いていたから悪い」と責められた。


あまりにも理不尽で、腹立たしく、そして悲しい。


そんな考えを持つ母のような者は、今後一切、看護師など医療従事者が関わる病院に患者として足を踏み入れるべきではない。


夜勤帯の医療従事者が存在するからこそ、夜間の救急外来が成り立ち、そして日勤帯に医療を繋ぐことができるのだ。

それなのに「夜に出歩いていたから自業自得」などという考えを持つ人間が、その看護師や医師から医療を受けるなど、矛盾にも程がある。


自分はその人たちを侮辱しておきながら、平気な顔でその恩恵にあずかるなど、身勝手の極みだ。

「夜に働いていたから犯罪に遭ったのは仕方ない」などという思考を持ったまま、人の善意や献身に支えられた医療を当然のように受けるなど、倫理的にも人間的にも破綻している。


まともな人間なら、そんなダブルスタンダードを自覚し、恥じるべきだ。

母には、一生病院に行かないと、心に刻んでほしい。


首藤はるか