
小ぶりなりんごを見て思い出した事がある

私が24才の時、ずっと夢だったオーストラリアでのワーキングホリデーに行ったの

大きなリュックを抱えての一人旅

ブリスベンに降り立ち、そのままサーファーズパラダイスへ


張りきって始めたボディーボードでは1回目の挑戦で大きな波の強さに巻き込まれ背中を岩に打ちつけ、余りの痛さに終了

サーファー天国にいきなりど素人が挑むもんじゃないなと、夜に一人でドミトリーの部屋にいたら、酔っぱらった女の子二人がやってきて一緒にクラブに行こうってお誘い


(後で知ったんだけど、そのバックパッカーズホテルに泊まってるってそのクラブで言えば1ドルでご飯が食べれたみたい

でもその時はその子達の英語が分からず、何だか怖かった私は疲れてるだの、英語が分からないだのウジウジ、、、

そしたらその子が「あんた赤ちゃん?ずっとその部屋にいればいいわ。それか、言葉が通じる日本に帰れば?


マジか、、凄いパンチがきたぜ

ってか、さっき日本から来たんだぜ


でも、そーだよね、、

英語が話せないからっていう言い訳はもうしないどこうと誓った夜

それから超一流のジェスチャーと顔芸を身に付けながら北上

ケアンズについた時には、ただでさえメラニン色素が多い私。色の黒さだけは、よ



格好もみすぼらしく、時々町で見かける日本人観光客がキラキラ見えてた


ケアンズでは偶然知り合った日本人から半ば強引に誘われ、乗馬ツアーに参加

そこの牧場のキレイな景色に一目惚れ


そのまま牧場主のおばちゃんに頼みこみ、住み込みで私だけ働きだしたの

牧場の名前はspringmount station

ケアンズから1時間半位、山に入った所

日本人観光客が多いから英語が話せなくても重宝され、毎日馬に乗れる生活

馬糞の上を素足でグチャグチャ歩き、川の水で体を洗う生活

世界中からワーキングホリデーで来た同じ年位の子が住み込みで働いてた

イタリア人のクララとドイツ人のマイカはいつも喧嘩ばかり

でもね、ちょうど今の時期くらいに、いつも私に英語を教えてくれていたドイツ人のリッキーがもうすぐ帰国ってなってね、、

誰が言い出したか、近くのマリーバという町に牧場主から車を借りて飲みに出掛けたの

私は相変わらず英語も分からず

それでもね、皆で酔っぱらいながらの帰り道、車の中でそれぞれの国の言葉でジングルベルを大合唱

それぞれの国の言葉でバラバラながら、ジングルベルジングルベルだけは皆が揃うから爆笑

その時どさくさに紛れてリッキーに「サンキュー フォー エブリシング」って言ったらリッキー泣き出しちゃったな

私の方が泣きたかったんだけどな

私が好きだったソルトンは大人しくてお利口なお爺ちゃん馬

牧場主のおばちゃんグレースの目を盗んでは毎朝、小ぶりなりんごをポケットに隠しソルトンにあげてたの

旅の予定があったのでその牧場には2ヶ月位しかいなかったけど

日本のりんごは大きいけど、この小ぶりなりんごを見たらソルトンを思い出した

でもね、日本に帰国してからソルトンが死んだって知ったの

あれからもう何年も経つけど、感謝するのはオーストラリアについたばかりの私に、日本に帰れば?って言ってのけてくれたあのトンチキ酔っ払い野郎二人組

あの時の悔しさがあったから、その後は自分から飛び込んで楽しい体験や出逢いがあったなって思う

日本に帰国して5年後位に家族でオーストラリア旅行をしたの

その時にスプリングマウントステーションにも行って牧場主のジョンとグレースにも会ってきた

そこで働いたヘルパーだけがもらえるポロシャツをお父さんにプレゼントしてくれたり、好きな馬に乗っていいって言ってくれてソルトンの次に好きだったペイサーを準備してくれたグレース



ジョンとグレースは数年前に引退してマリーバに引っ越してるはず

今年はジョンとグレースにクリスマスカードを送ってみようかな

もう、忘れられてるかもだけど


でも、私の胸の中にあるspringmount stationには今もたくさんの馬やワラビー達が跳び跳ねているのよ

トップバリュ




Android携帯からの投稿