いつも、チェ・ヨンの腕の中、安心しきって眠っているウンスは、ちょっとやそっとで起きることはない。ましてや今日は彼に“もうお願いだから眠らせて…”と懇願するくらい愛された…少し身体のあちこちが痛むほどである。
でも、この身体の甘い痛みがウンスはたまらなく好きだった…彼が隣にいてくれることが、夢ではないと思えるから…幸せの証なのだ。
そして、そんなチェ・ヨンの目覚めは早い…たまに眠っていないのではないかと思うこともある。
いつもウンスより先に目覚めていて、その身体を腕に抱いている。ウンスが彼より早く起きることなど滅多にないことなのである。
今、チェ・ヨンは…うなされていた…その声にウンスは起こされたのだ。
もしかして私が気がついていなかっただけで…こんなことが良くあるのかしら…
「チェ・ヨン、起きて!私はここよ」
ウンスは身体を起こし、何も身に纏っていないふくよかな胸にチェ・ヨンの頭を掻き抱く。チェ・ヨンは目尻から涙がこぼれ落ちているようであった。ウンスは彼の頬を数回軽く叩いた…
「くっ!はぁ…はぁ…イムジャ…はぁ…夢か…」
チェ・ヨンはようやくぼんやりと瞼を開き、ウンスの身体に強く腕を回すと、抗わずウンスの胸に顔を埋めている。
「大丈夫?どうしたの?夢でうなされるなんて…珍しいわね?どんな夢だったの?」
ウンスの柔らかな胸に唇を寄せながら、更にきつく抱きしめる。
「…いえ…たいした事では…」
ウンスは、チェ・ヨンの頬に手を当てると、自分の方を向かせ彼の眸を覗き込む。
「…私には話せない?そんなに頼りないかしら?…私はあなたの妻であり、あなたの優秀な主治医でもあるわ。…お願いよ。何かあるなら言って?辛いことだとしたら、私が半分抱えてあげられる…」
チュッとチェ・ヨンの額に口付ける。
チェ・ヨンは、まだ悩んでいるようだったが、諦めた様子で話し始めた。こういう時のウンスは、話を聞くまで引かない事を知っているからだ。
「…夢を見たのだ…。若かりし時の父上と…そして母上の…」
ウンスはチェ・ヨン本人ですら気がついていない涙を、細い指先でそっと拭う。チェ・ヨンは驚いたような顔をしていた。
「ご両親の…だから私に言いたくないのね?平気よ?だから…話してみて?」
「……だが…イムジャ…」
「そうだ!今日はもう二人共出仕しないでサボっちゃいましょ?せっかくあなたの誕生日だったんだもの…ねぇ、チェ・ヨン?今まで聞いたことがなかったけど…あなたの子供の頃の話を聞かせて?私と出逢う前のあなたが知りたいわ…」
ウンスは、カウンセリングのつもりであった。きっとチェ・ヨンには心に深く残る…辛い出来事がある。人に話せばその痛みが減ることもあるのだ。辛いことも楽しいことも二人で分け合おうと誓い合ったのだから…
でもこの人は、辛いことは私の分まで全て背負おうとする、責任感の塊のような人…全てを自分のせいにしてしまう…
それは違うのだと教えてあげたい…
「俺の子供の頃ですか?イムジャに聞かせて話してやるほどの事も特にはないが」
チェ・ヨンは、ウンスと目を合わさずに応えた。
「ううん…何でも良いの。じゃあ私が聞くから、それに答えてくれたらいいわ…ねっ?良いでしょ?」
「はぁ…わかりました。その代わり、話が終わったらもう一度イムジャを…」
気持ち良さそうにウンスの胸に顔をすり寄せ、背中に回した手が怪しく蠢いている。
ウンスは呆れた顔で小首を傾げながら、短く聞いた。
「本気?」
「俺は冗談など言わぬ…そうすればイムジャの体調が悪い故、出仕出来ぬと、陛下への言い訳にもなる。」
「俺は冗談など言わぬ…そうすればイムジャの体調が悪い故、出仕出来ぬと、陛下への言い訳にもなる。」
「本当に私を病人にする気なの?ふふっいいわ!取引成立ね!じゃあ、聞くわね…まずあなたのお母様の事から…覚えていることってある?」
「ああ…そう多く母上との思い出はないが…一つ一つは良く覚えている…叔母上や父上に後から聞いた事も…俺の母は………」
*************
「あなた…ほら見て下さいな…こんなに動いているわ。わかりますか?」
ミンは嬉しそうにウォンジクの手を取り、自分のお腹に手を当てた。
チェ・ウォンジクは、不安を顔に出さないように答えた。
「ああ、きっと元気な男の子かもしれぬな。この様に良く動くとは!」
「ふふふ…そうね。男の子だと良いわね…私は、そう何度も子を産める訳ではありませんからね…あなた…本当にごめんなさい」
「何を言うのだ。この子を産むことすらお前には命懸けかもしれぬのに…」
チェ・ウォンジクとミンは幼き頃からの許嫁であった。ウォンジクの父チェ・オンが、仲の良かった友人と酒の席で…子供達を夫婦にしようと約束を取り交わし、許嫁としたのである。
二人は3歳違いで、良くお互いの家を行き来きするなど、家族ぐるみの付き合いであった。
今年で夫婦となり5年目…仲の良い夫婦ほど子が出来にくいと良く言うものだが、この二人もまさにそうであった…諦めていた頃、ようやく念願の赤子を授かったのだ。
あまりに子が出来なかったので、ミンは離縁をするか、側室をもらってくれと何度も頼んでいたのである。それを頑としてウォンジクは聞き入れなかった。
************
__________「そうだったの…あなたの家って高麗で10本の指に入るほどの名家だってみんなに聞いたわ…お母様の気持ち…よくわかる…」
ウンスはチェ・ヨンの髪を愛おしそうに撫でながら、話を聞いていた…
「俺とて父上と同じことをするだろう…子が欲しくてイムジャと夫婦になったわけではないのだから…」
「ありがとう、チェ・ヨン…お母様…どこか体調が悪かったの?」
「…ええ。実は……」

今お気に入りの二人のイラスト
皆様こんばんは
大変遅くなりました
本日…忙しすぎ記憶がございません
仕事…何やってたんだろ
楽〇も大変なことになっており
忙しいのにお手伝い
久々なので
間違えていないと良いのですが
そしてお話の方ですが
完全妄想で行っております
調べたんだけどお手上げ
あまり深く突っ込まないように
お願い致します
それからコメ返
もう少し待っててね~
コメント返信の画面です
こんな感じになってまして
古い方から順番にお返ししていってます
お話ごとだと、過去記事にコメくれた方に
返信ができないのですよ
あとちょっとなので頑張ります~

昨日はハズレ画像笑って頂けたでしょうか
(´▽`*)アハハ アホな私に
付き合ってもらってごめんね~
もしかして、別館へ飛べてない方
いらっしゃるかしら?
♥をポチッとすると別館の方へ
飛べますからね
では、おやすみなさい
