バシッ!
「誰だ!?」
______月のない…墨を流したような夜…兵舎の見張りに立っていたチンドンが、門の前に縛られ猿轡をされている男女二人を見つけたのは、チェ・ヨンの元へ早馬を送った日の夜だった…
二人に気を取られていると、顔の真横を1本の弓矢が通り過ぎる!あと少しずれていたら、命はなかった…いや、明らかにチンドンの顔から拳一つ分…外して射ったのであろう。門の横にある小さな松明だけが唯一の灯り…遠くからでは一寸先も見えないような真っ暗闇の中で…相当な弓の腕である。
すぐに辺りに目を凝らしすと、黒い人影のようなものが音もなくあっという間に遠ざかり、闇の中に消えていくのが見えた。直ぐさま首から下げる笛を吹く。
「大丈夫ですか?!」
チンドンは松明を1本引き抜くと、門の所に倒れている二人を照らし出す…急ぎ縄を解き猿轡を外すと、頬を叩いて目覚めさせる。
「う…ん…ここは…」
イ・セクが、意識を取り戻した…
「良かった!誰がお二人にこんなことを?」
チンドンはイ・セクの体を支えながら聞いた。
「母は!?母は大丈夫ですか?」
イ・セクは、隣で地面に力なく横たわる年老いた母親の顔を覗き込み、膝の上に母親の頭を持ち上げる。口の端には既に乾いた血の塊がこびり着いていた…
母親の呼吸音を確認し安堵すると、
「私はイ・セクです。ここは迂達赤の兵舎ですね?…私たちを、陛下のところへ連れて行ってもらえるだろうか。足をやられて一人では歩けないのです…」
その時バタバタと中から数人の迂達赤が何事かと現れた。門に刺さる弓矢に気付いた隊員が縛り付けられていた手紙を外し読み上げる…
「こ、これは…事実であろうか…?もし事実だとしたら…大変なことだ!急ぎ調査し陛下と大護軍に知らせねばならぬ!」
*************
「やはりここも倭寇など攻め入っておらぬようだ…くそ!何かがおかしい…チュンソク!帰還の準備は?」
今すぐにでも発てる準備をしながらチェ・ヨンが問う…何故だろう、気ばかりが焦ってしまう。気がつけば掌から電流が走り出し、パチパチと音を立てていた。
「はっ!大護軍!いつでも発てる準備は出来ております!」
「良し!皆!よく聞いてくれ!此度の倭寇討伐であるが、何者かによる罠と考えたほうが良いであろう!我ら迂達赤を開京から遠ざける事が目的であったと思われる!故に、只今より開京へ帰還するが、あまり休むことはせず戻るつもりだ!ここまで3日かかったものを2日で戻る!良いな?」
チェ・ヨンはよく通る声を響かせた。
「はっ!」
「それから事の次第を鳩にしたため、陛下へ報告しておいてくれ!」
「かしこまりました!」
__________馬達を気遣い、暫しの休息を挟みながら夜通し馬を走らせた。だがさすがに途中で、数頭が潰れてしまいそうであったので、この辺りでは大きなこの町で馬を休ませることにしたのだ。
「皆!この町で1時辰(※2時間)の休息をとる!必ず4人一組で行動せよ!」
「はっ!」
その時…自分たちが今来た道から、駆けてくる1頭の馬が目に入る。迂達赤のようだ…真っ直ぐチェ・ヨンを捉えているその眸を見た時、チェ・ヨンは嫌な予感がした。鳩尾の辺りが締め付けられ、息苦しくなる…まさかイムジャに何か…
息を切らせながら、馬から飛び降りたチョンスはチェ・ヨンの前に平伏し大きく息を吐くと、一息に言葉を続けた。
「大護軍、陛下よりご報告があります!2日前の深夜…医仙様が…」
医仙の名を聞き、思わず遮ってしまう…俺の思い違いであって欲しい…
「イムジャが?イムジャに何かあったのか?」
チョンスはチェ・ヨンの顔が見られず、下を向いたまま声を絞り出すように話し出す。大護軍がどれほど医仙を大切にしているか…迂達赤の中で知らぬ者など一人もいない…
「医仙様が何者かに攫われてしまいました…」
チェ・ヨンの眸は、恐怖に揺れている…チョンスの胸ぐらを持ち、力の限り引き上げ立ち上がらせると
「もう一度言え!何と申した」
「はっ!医仙様が男に…おそらく元の人間ではないかと思われる者に2日前に攫われました…只今陛下と、チェ・尚宮様の指揮の下…禁軍が開京から出られる街道を全ておさえ、国中のスリバンが医仙様の行方を追っております…陛下からの伝言です…“大護軍、本当にすまない。医仙は、必ず見つけ出す”…そう伝えてくれと申されました。現在開京は厳戒態勢に入っております!ですが…私が発った時にはまだ何の足取りも掴めておりませんでした。某、この先の村まで行ってしまい…ご報告が遅くなりました!申し訳ありません!」
チョンスを掴む手がだらりと下がる…嘘だ…誰か嘘だと言ってくれ…
テマンやチュンソクの慌てた顔が目前にあるが、チェ・ヨンの眸は何も写してはいない。
どんな状況であろうと瞬時に判断を下さねばならぬこの俺が…イムジャの事になると冷静でいられた試しがない。どうする?…今すぐにでも単身で探しに行こうか…しかし、何も手がかりがない…こいつらをここに残し、先に開京へ戻るしかないであろうか…
誰がイムジャを…此度の事…全て俺たちを離し、イムジャを攫うためだけの罠だったのだな…誰が、何のために?理由などいくらでもある…イムジャは、先の世を知る神医なのだ…
チェ・ヨンの胸に狂おしいほどの焦燥感と憤怒の念が入り混じり、息苦しささえ感じる…
「大護軍!我らに構わず行ってください!後のことは私が!人数が必要とあらば、何人でもお連れください!」
テマンが、横で頷いてる。
チュンソクの言葉がチェ・ヨンの背中を押した。
「チュンソクすまぬ…チュホンを暫く休めた後、出る。俺についてこられる者を数名貸して欲しい」
「はっ!選抜しておきます!この戦…長くなるかもしれません!味はせずとも…何か口に入れてきて下さい!医仙様のためにも…」
「戦…そうだな…わかった…」
イムジャ…必ず助けに参る!それまでどうかご無事で!
************
「チェ・ヨンにもう一度早馬を出すんだ!急げ!手遅れになる前に!」
王の手には、兵舎に刺さった弓矢に括り付けられていた手紙が握られていた…そして隣には力なく肩を落としたイ・セクの姿があったのだった…
皆様、おはようございます
この絵も綺麗でしょ
本当はブルーの線なのですが
キラキラピンクにしてみました
先週からもう一人の事務員が
腰を痛め、ずっと休んでおりまして
死ぬほど忙しい私です
100KG超のため
痩せろと工場長に電話で
この絵も綺麗でしょ

本当はブルーの線なのですが
キラキラピンクにしてみました

先週からもう一人の事務員が
腰を痛め、ずっと休んでおりまして

死ぬほど忙しい私です

100KG超のため

痩せろと工場長に電話で
言われておりました
あ~もう時間がないです
小噺は、あとで追加しようかな

あ~もう時間がないです
小噺は、あとで追加しようかな


コメ返&メッセのお返事
もう少しお待ちくださいね

そうそう
もちろん寸止めは

ワザとでございますよ

では今日も一日
ファイティン



