「チグン!」
ウンスは考える事も、振り返る事もせずチェ・ヨンを信じ、彼に言われた店内の壁際にピッタリとくっ付いてチェ・ヨンを振り返り無事を祈る…
「こっちだ!」
ウンスの背後から忍び寄り、ウンスを捕らえようとしていた男を、チェヨンが素手で押しのけ、大きな壁のようにウンスの前に立ちはだかる。
「くっ!どけ!お前には用はない!」
「お前に用はなくとも、俺にはある。イムジャには指1本触れることも許さん…命はないものと思え!」
いつの間にか周りから更に4人の男達が現れ、二人を中心に半円形に陣を組んでいた。皆、町民の格好をして紛れ込んでいたのである。もちろんチェ・ヨンは気付いていたのだが…
男達は、背負っていた籠の中から剣を取り出したり、持っていた竹竿と思われた物の先を取り去り、槍に変え二人に迫ってくる!パジの中から中刀を抜く者もいた。
周りにいた買い物客や店主達が、そそくさと音も立てずに後へ逃げ去り、遠巻きに様子を覗っている…
男達が一斉にチェ・ヨンに襲い掛かる!ウンスを背に庇いながら、槍を蹴飛ばし飛んできた小刀を手刀で弾き飛ばす!その姿は、まるで俊敏な獣のようだった…
反対側から繰り出された剣を持つ手を掴んで、引き寄せるとぎゅっと捻りあげ、剣を叩き落とし、思い切り背中を蹴り飛ばす!
ウンスはチェ・ヨンに言われた壁を背に微動だにせず、震える大きく見開かれた瞳でチェ・ヨンただ一人に釘付けになっている。
「なぜ、お前達だけなのだ!お前達の後に居る奴らはどこだ!」
そう言いながら、剣を振り下ろしてきた男を、蹴り飛ばし地面に転がした!凄んで見せたチェ・ヨンの眼は、ウンスに出逢う前のような冷たい鈍光が宿っていた…
素手による攻撃だけを受けている男達は、息はあがってはいるものの、立ち上がり武器を拾い上げ、半円形の包囲網を狭めて、二人を追い詰めていく!
そう…チェ・ヨンは素手で戦っていた…鬼剣は置いてきたのである…
恐らく剣を取りこぼしてしまうであろう今の己の姿を…
ウンスに晒しこれ以上心配を掛けたくなかったのだ…
それに敵であろうと命を救いたいと思うウンスの目の前で、この程度の奴らを斬り捨てる事はしたくはなかった…
チェ・ヨンは、確かめるように辺りに鋭い視線を投げかけると、大きな声で叫んだ!
「本当にこいつらだけなのか?近くに他の奴らはいないのか?良く探せ!」
その言葉に、何事かと驚いた男達が慌てて自分の後ろを見回すと、周囲に逃げていた買い物客や店主、下男が一斉に剣を抜き弓を構え槍を持つ!その全てがこの男達に焦点を合わせている…
そう、皆、私服を着た迂達赤やスリバンの者達であったのだ!
その中にはやはり私服を来たトルベが居た…
「はい!隊長!いません。こいつらだけで来たようです!」
その刹那!チェ・ヨンの後側から音も立てずに迫り来る男が、ウンスに向かって刀を闇雲に振り回しながら店の中に入ってこようとしていた!
間髪居れずに、突風の如く動き、地面に落ちていた剣を足で蹴り上げ掴み取ると、その男の剣を遮った!
しかし、チェ・ヨンの剣が、男の剣と激しくぶつかった瞬間…チェ・ヨンの手からは剣が無残にもこぼれ落ちる…
「くっ!」
男の剣が執拗にウンスに向かって振り下ろされた!
チェ・ヨンが腕で剣を受け止めようとした瞬間、剣のぶつかり合う金属音が聞こえてきた。トルベだ!トルベが駆けつけ槍で剣を受け止め弾き飛ばしてくれていたのだ。
「隊長!大丈夫ですか?」
「あぁ…助かった。すまないな」
周りに居た迂達赤が四方から現れ、その男を取り囲み捕らえようとしている。
「怪我をしたくなければ大人しくしろ!」
「ちきしょう!あと少しだったのに!」
大きく息を吐いたチェ・ヨンがウンスの腕を掴み、その場から遠ざける。
その後姿を心配そうにトルベが目で追っていた…
隊長…やはり…
ウンスが、立ち止まったチェ・ヨンの右手を見ると、青く血管が浮き出るくらいに力が入り、ぶるぶると小刻みに震える大きな拳がそこにはあった…
「あなた…」
小さな両手で震える彼の拳を包み込み、そっと口付けをする…
いつもいつも自分を守ってくれている力強く大きな手…
ウンスから零れ落ちる温かな涙と、柔らかな唇が、狂おしいほどに握り締められたチェ・ヨンの拳をゆっくりと溶かし広げていく…
二人は時間をかけゆっくりと指と指とを絡ませていく…各々の想いを触れ合う指先にのせ…伝える…
愛を語らうかのように…
大きく一つ息を吐き、ウンスの涙を右手に絡め取る。
「イムジャ…ありがとう…ご無事ですか?」
うんうんと頷き、もう一度チェ・ヨンの指に自分の指を絡ませぎゅっと握り締める。
「ここでお待ちを…皆に指示を与えて参ります」
「わかった」
迂達赤が5人の男達を捕らえていた。まだ諦めずに反抗している者もいたが時間の問題であろう…
「こいつらを連れて行け!徳成府院君の奴らがどこに居るのか、居場所を必ず吐かせろ!誰でも良いから襲えと命を受けた訳ではあるまい…俺と医仙を狙ったのは確かなこと!逆を申せば、今俺達を襲おうとする者は奴等しか居らぬ!必ず奴らの命を受けておるという事だ!良いなトルベ!」
「はい!隊長!承知しました!」
「こんな弱い奴らだけを送ってきた筈がないのだか…本当にあいつらがおらんのか、辺りを今一度捜索せよ!」
「はっ!」
そこからかなり遠く離れた建物の2階から…赤い衣を身に纏う不吉な影が笑いながらすっと背を向け、煙のように立ち去って行ったのだった…











お買い物デート
あとがき
皆様こんばんは
いかがだったでしょうか
お買い物デート
実際は周辺に迂達赤を
刑事
のように張り込ませた
おとり捜査…といった所でしょうか?
知ってましたか
私もSTさんのシナリオ読ませて頂くまでは
ただのラブラブショッピングだと
思ってました
そして仕掛けたのはファスイン
徳成府院君の屋敷で会った男がいましたね
こいつです
シナリオでは、ここで逃げようとしたこいつに刀を投げつける…
でも当たらないで逃げられる



だったようです
でも本編では、ここでチェ・ヨンが
剣を落としましたよね
お買い物デートはこれでなくなってしまったのだと
思います
ウンスの居場所はわかった
チェ・ヨンは剣が持てないから
恐れなくて良い
それだけが言いたかったのですね
それからこのデートの時、鬼剣は持って行かなかったようです
何故だと思いますか?
私は、剣が握れずウンスに心配掛けたくなかったから
と、受け取ったのですが皆様はどう感じましたか
そしてチェ・ヨン
奴らが来るのもわかってました
でも剣を持たず町へ行った
自分の命なんぞより
大切なウンスが居るのにこの行動
迂達赤とスリバンを本当に
信じていたのだと
思いました
そんな事を考えていたら
心が熱くなっちゃいました
でもまぁ、この程度の奴らは
チョチョイのチョイですかね…
おっ
今日のはるは真面目じゃねぇかと思った皆様
2週連続土曜も仕事なんで
ちょっと脳細胞が破壊気味なだけですよ
壊れ…かけの…はるじゃん
そしてお買い物デートのシナリオはここまで
この先をちょこっと明日の仕事中にでも
考えてみますね
テマンと服はどうなったのか
靴も装飾品もまだじゃん
買ってあげましょう
ウンスさん
では今日も長いことお付き合いありがとうございました
アンニョン

にほんブログ村

な、なんと6.8Gになっちゃってました






