やっぱりこの年、金鏞(キム・ヨン)の乱があった年なの…
チェ・ヨンには、もちろん話してあったから、その金鏞て人にずっと人を張り付かせて居たんだけど、全く何かするような気配がなかったから、安心してたの。でも違ったわ…
チェ・ヨンが、遠くへ任務で行っている時を狙って皇宮に入ろうと襲いかかってきたの。しかも、禁軍をかなりの人数、味方にしていたわ。だから中に入られるのは簡単だった…。
迂達赤も、まさか今の禁軍が裏切るなんて思っても居なくて…。チェ・ヨンがしっかりした人を人選して皇宮内は守らせていたから。後から聞いた話だけど、金鏞が禁軍の家族を人質にとって脅していたらしいわ。許せない!
テマン君がチェ・ヨンを連れて戻って来た時には、日にちが変わった真夜中だったそうよ。一室に王様と王妃様、お子様達を武閣氏と迂達赤が死に物狂いで守っていた時だったらしいの。
何人か怪我もしていて…。チェ・ヨンはいつものように鬼剣を振るい、周りにいる者達を切り捨てて行った…。家族を人質にされて居る話は、切り捨てようとした禁軍の兵士に聞いたんだって。
きっと今の私より怒りに震えてたと思うわ。チェ・ヨンはそのやり方が大嫌いだから。その後は禁軍の兵は峰打ちにするしかなくて…。それが仇になったの…。私のせいかもしれない。いつも無駄な殺生はやめてと言っているから…。
お母さん、私のせいでチェ・ヨンが死んだりしたら…どうしよう…私も一緒に…って…。あの時は怖くて震えが止まらなかったわ…。
テマン君に聞いたの。
王様達の隠れてる部屋の近くまでチェ・ヨンは辿り着いたみたい…。そこに、金鏞や、敵の兵が大勢いたらしいの…。チェ・ヨンは大将である金鏞だけを斬るつもりで、周りに居る兵達は全て、峰打ちにして居たみたいなのよ…。斬らずに…。ここで迷うと命取りだからと…。誰が敵で、誰が無理やり戦わされて居るのかがわからないから。殺さぬようにと…
なんとか金鏞は討ち取ったの。チェ・ヨンと迂達赤数人で。王様の部屋を開けて無事を確認しようとした時、気を失っていたはずの金鏞の部下に後ろから刺されたらしいの!すぐ、迂達赤がその場は制圧したみたいだけど…。
テマン君が私を迎えに来た時、嫌な予感がしたの。ただ、皇宮が攻め入られ怪我人が出たので 手術道具と薬をお願いしますと言ったの。私を見ずに…。すぐに典医寺に行くと怪我人だらけで…。
重症者から治療しようと、持ってきた4色の布でトリアージしようとしたわ。そしたらテマン君が私を引っ張り別室に…。そこにはチェ・ヨンが血まみれで横たわってた…!息が止まるかと思った。でもテマン君があの時の事を覚えていてくれて…。
刀を彼から抜かずに居てくれたの。だからこの程度で出血が止まっていた。テマン君にお礼を言ったわ。これを抜いて居たら彼は死んでしまっていたと思うと…。ありがとうって。
私はO型だから、彼の血液型がわからなくても輸血出来るんだけど、この時代ゴム管もないの…。だからなるべく出血を抑えてオペをするしか…。お母さん…この時の私の気持ちわかる?ほんとに悔しくて怖かったの…。
典医寺の医師にオペに入ってもらっても、5時間かかったけど、とりあえず命だけは取り留めたわ。後はチェ・ヨンの体力と気力次第だったの…。ずっとずっとチェ・ヨンの側に居たかったけど、私は医師だから…。
テマン君に彼に、ついていてもらって、昨夜トリアージした怪我人を重症者順にオペをして行ったの。何人かはもう手遅れだった…。やっぱりオペの出来る医師を育てなければいけない。迂達赤は、怪我人こそ居るけど、さすがにそこまで酷い怪我はしてなくて、私が何針か縫う位ですんだわ。チェ・ヨンも安心すると思う。
全て終わったのはもう昼頃だった…。
やっとチェ・ヨンだけを診ていられる。
脈を診ると少し弱いけれど、正常に脈打ってるわ。でもあれから全く意識が戻らなかったの。チェ・ヨン…お願いよ、私を置いて逝かないで…。
彼に口移しで水を飲ませると、とても唇が冷たかった…。私の涙が彼の頬に落ちたわ…。輸血さえ出来たら…。酸素吸入が出来たら…。抗生物質があれば…。悔しいよ、お母さん。もう、これ以上医師として何も出来ない。妻としてはどうしたらいいの?祈るだけなの?誰かチェ・ヨンを助けて…!って祈ってたわ。
だんだん彼が冷たくなっていくの…。私ね、彼を温めたくて彼の布団の中に一緒に入ったの。いつもしてもらってるみたいに、彼に腕枕してあげたわ。そして耳元でずっと話しかけてたの。私を置いて逝かないで…。目を覚ましてって。何度も何度も…
そしたら夕方、握ってた手を少しだけ動かしてくれたの!慌てて彼の顔を見たわ。少し血の気が戻ってきてた。チェ・ヨン…目を開けて…って言ったら、やっと気がついてくれたの!もうきっと大丈夫よ!
お母さん!嬉しくて泣きながらKissしたわ。彼がね、かすれた声でこう言ったの。イムジャ…俺は…あなたを置いて死んだりいたしませぬと言った…はずです…。だから……泣かないで……。俺を…呼び戻してくれて…ありがとうって。
力の入らない手で私の涙を拭おうとしてくれた。その手を掴んで私の頬に…彼の体温を感じたくて…。愛してるわチェ・ヨン…。俺も…愛して…おります…って。お母さん本当に良かった。涙が止まらない…。
お母さん、私ね今回の事で思ったの。自分はこんなに弱い人間なのかって。彼が逝ってしまったその時は、自分もって一瞬考えてしまったわ。子供達の事…その瞬間忘れてしまっていたの…。ダメな母親ね。
もっと強くなるわね!彼と子供達を守らなきゃ。
お父さん、お母さんいつも聞いてくれてありがとう。
1363年10月 ウンス
ーチェ・ヨンさんが…ウンス良くオペが出来たな…こっちじゃ、基本、家族のオペは出来ない事になってるだろ?冷静さを欠くから…。それなのに良くやったぞ!ウンスや…
ーそうですね、お父さん。
ウンスはよほどチェ・ヨンさんを愛しているのね…。大丈夫よ、きっとすぐ良くなるわ。動揺しないで、ウンス。
金鏞(キム・ヨン)の乱
1363年恭愍王を殺そうとした金鏞{キム・ヨン}の乱を平定して尽忠奮義佐命功臣{チンチュンブヌイジャミョンゴンシン}になる。
すみません
これしかわからなくて。
これしかわからなくて。どんな戦だったのやら

しかもチェ・ヨンに怪我までさせてしまい…
申し訳ないです…
申し訳ないです…でも、これでまたひとつ偉くなったチェ・ヨンでした


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