信義2巻の終わりから〜 | 信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

信義〜♪ 私の中の3巻…(シンイ・二次小説)

シンイの二次小説を書かせて頂いております。
読み終わった後に、心がほんわかあったかくなるような、物語を綴っていきたいです。

2巻の終わり…
少し映像と違いましたよね?
ウンスにヨンを抱きしめてもらいたかったドキドキ



ではでは… 2巻の終わりから…






ウンスは目を丸くした。自分が言った事を覚えているかと聞かれた時、覚えていると頷いた。こんな状況でついて来いと言われたら、忘れられるはずがない。ところがチェ.ヨンは、燃え盛る庭の中に飛び込んだ。
まだ火が燃え移っていなかった門の板は、火の海と化した庭にわずかな道を作ったが、それでも火の中であることに変わりはない。こんなの聞いてないわよ、とウンスは胸の中で溜息を吐く。板の上に立ったチェ・ヨンが、ウンスを振り向いた。
私も来いと言うこと?

 それだけは、ご免だと思いながら横を見ると、向こうにいた赤い服の女と目が合った。あの人、覚えてる。いつだったか典医 寺に来て手から火を出したXーMENならぬXーWOMEN。再び門の中、庭の方を向く。
火は赤々と燃え盛り、赤い火の粉と黒い煙が風に吹き荒んでいる。
 
  その時、チェ.ヨンがこちらに向かって手を伸ばした。この手を掴んで、と言うように。ウンスははっとした。よく覚えている。夢の中で、彼は同じように手を伸ばした。今と全く同じように。勇気を持てと言うように、チェ・ヨンが笑った。夢で見た笑顔だ。

 火手引がウンスに迫り、襟首を掴もうとしたが、既でのところでウンスは燃え盛る火の中に飛び込んだ。

 手を掴むと、チェ・ヨンはウンスの手を握って走り出した。波のように揺れ動く火の手と、目や鼻を襲う煙の中を突き抜け、裏庭に向かった。走りながらチェ・ヨンは井戸の側にあった水瓶を足で持ち上げ、後ろに向けて蹴った 。水瓶が割れて溢れ出した水は、火のついた油を大きく撒き散らし、火をさらに燃え盛らせた。
走ってきた刺客は、燃え上がる火の手を前に、後ろへ下がるしかなかった。

 走りながら、チェ・ヨンは火のついたからたちを切って道を作った。三人が裏庭の垣根を抜け出るまでは、まさに一瞬だった。チェ・ヨンの口笛を聞いたチュホンが、火を恐れもせずに駈けて来た。

  チェ・ヨンは、チュホンの背に慶昌君 を抱き上げて乗せた。

慶昌君はひどく咳込みながらも、懐かしそうにチュホンにしがみついた。チェ・ヨンがウンスの方を向いた。赤い髪は 
乱れ、顔中が煤で汚れているが、目はしっかりとチェ・ヨンを見つめている。

 チェ・ヨンにとっては、今駆け抜けて来た火の中より、これからウンスに言うべきことの方が怖かった。

 暗い空のどこかで稲妻が走り、間もなく雷が落ちる音が響いた。ポツポツと雨が降り出した。

『このまま真っ直ぐ、行けるところまで走って下さい。雨が振れば追撃が難しくなります。出来るだけ遠くへ 行き、身を隠せるところを見つけたら、そこに隠れていて下さい。』
『私たちだけで行けと言うの?どうして?』
ウンスは食い下がった。
『一緒にいては某が戦えませぬ』
ウンスは無言で射抜くようにチェ・ヨンを見た。燃え盛る火が、その目を赤く照らしている。
この人……怖いんだわ、とウンスは感じた。少年を背負って襲いかかる男達の中を駆け抜けた人が、火の海の中を迷いもせず突き抜けた人が、私たちを先に行かせることに、恐れを感じている。

 チェ.ヨンはウンスから視線を逸らした。鞍に括り付けておいた盾を外し、背中にかけながら言った。
『後ほど伺います』
『どうやって?』
『どこにいても必ず迎えに参ります』
チェ・ヨンは鐙を掴み、足を入れるのを待った。だが、ウンスは動こうとせず、仕方なく向きなおっった。目に想いが籠る。ウンスは頷いた。

『わかった』
 思いも寄らない言葉を口にしてウンスが近付いて来た。鐙に足を入れるのかと思いきや、ウンスはそのままチェ・ヨンの首に腕を回した。チェ・ヨンの息が止まる。暖かく細い体で大柄のチェ・ヨンの身体を抱きしめ、ウンスは耳元で囁いた。
『待ってるから…』

 風に舞う花弁が留まり、再び 飛んで行くようにウンスは離れた。一人で馬に乗る間、チェ・ヨンは呆然とその姿を見つめていた。
少しも動くことが出来なかった。ウンスは慣れた手つきで手綱を手に巻つけて握ると
慶昌君に言った。
『しっかり掴まって』

慶昌君は頷き、チェ・ヨンの方を向いた 。ウンスもチェ・ヨンを見る。そして二人は笑った。火の手を避けてこちらへ向かってくる足音が背後に迫っても、チェ・ヨンは呆然とウンスの微笑を見つめていた。ウンスが腹を蹴り、チュホンが走り出した。暗闇の中に後ろ姿が消えたのを見て、チェ・ヨンはようやく後ろを向いた。
火手引を先頭に刺客が迫って来る。チェ・ヨンは収めた剣を再び抜いた。

 悪いが、お前達を通すわけにはいかない。

 再び稲妻が走り、雷が落ちると、雨は瞬く間に太く激しくなった。
雨脚を掻き分け、チェ・ヨンは敵に向かって走り出した。
  胸の奥深くにしまったはずの希望が、若芽のように芽吹き始める。小さな藁葺きの家の、小さな庭。そこの自分に笑いかける二人の姿。二人を通って吹いてくる柔らかい風。その風についたあの方の香り…。
あの笑顔と、あの香りを守るため、俺は生きる。いつか天門が開く日、あの方をこの手でお返しするために、俺は生きる。


チェ・ヨンの手から放たれた剣気が最初の一人を斬った。男の血が虚空に散り、灰色の太い雨を赤く染めた。




3巻に続く…_| ̄|○

ちょっと疲れた汗汗汗汗

チェ・ヨンが、生きたいと思ってくれたのはこの時だったのかな…





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