『パリに憧れて』 後藤由貴著 ワイズ出版 | 春光堂書店 公式ブログ

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お世話になっている美容室「La Casita(カシータ)」の後藤由貴さんが本を出版されました☆
 

わたしが初めてお会いしたのは今から10年ほど前でしょうか、その時から抜群のファッションセンスとオーラに驚かされました。
 

そんな由貴さんが2021年についにご自身の夢を叶えてサロン「La Cachette et Mimi」をオープンして、今度は本の出版です♪
 

タイトルは『パリに憧れて』ワイズ出版です。

ワイズ出版といえば、映画に強い出版社として有名ですね♪

 


 

先日、今回の本の編集者が甲府にお見えになり、由貴さんと3人でさまざまにお話させて頂きました。由貴さんの話があまりに独創的でおもしろく、話は盛り上がり2時間以上に及びました(^^)

編集者の方は、今回の出版にあたり、東京にあるフランスのヴィンテージを扱う場所にも色々と出かけたらしいのですが、その中であらためて類まれな由貴さんのセンスを実感し、絶賛されていました!インスタにおいてもフォロワー数を伸ばし続け、熱烈なファンが全国各地にいらっしゃるそうです。
 

サロンのオープンに至る工程とともに、由貴さんが「好き」でたまらない世界観を紹介しています。数々の愛してやまないものたちの写真と、それにまつわるエッセイを思い入れたっぷりに綴っています。由貴さん独自のパリ案内も読みどころです!こんなお店があるのかという、驚きのお店や日本ではあまり見かけない美味しそうな料理にも目が釘付けになります。

また、この本は細部にまで工夫を凝らした編集です。細かくはぜひ手にとって見てほしいのですが、表紙カバーはもちろん、それを外した時のカラー装丁の美しさ、見返しの帯をめくってみると、こんなところにあら(!)、といった驚きもあります。また本を開けば各コラム毎にかわいい小物の写真が差し込まれていたり、どのページも見入ってしまいます。

読んで一番感じたことは、由貴さんが子供の頃の気持ちを今でも大切に持ち続けていて、それが幸せの源泉になっているのではないかということでした。大人になるにつれて、子供の時の好きなものを封印してしまったり、なにかの事情で捨ててしまったりする人が多いのではないかと思います。しかし、この本を読むと、由貴さんの幼少期からの「好き」の「直感」を大切にする気持ちが、心の中でずっと生き続けていることがわかります。
 

小さい頃に行ったお店(「はいから屋」さんなどなど)、その階段裏の佇まい、店員さんのしぐさ、かわいいラッピング、かけてもらった嬉しい言葉、小箱を開いた時のときめき、お小遣いでは買えなくて憧れて見てるだけのもの、そうした小さい出来事の数々が、由貴さんの中でしっかりと記憶され、古い映画を再生するようにノスタルジックな風景が臨場感をもって映し出されていきます。

他にも、夢中になった物語(プロイスラーが書いたものなど)、雑誌(「なかよし」「オリーブ」など)の愛読したコーナー、何回観たか分からいない映画(「シェルブールの雨傘」など)、祖母との思い出、影響を受けてきた人たち、由貴さんというオリジナリティ溢れる人間を形作ってきたものが何であったのかが垣間見れます。また由貴さんの強烈な「好き」の押し出しに魅了されて、読んでいる方も、その本や映画に触れてみたくなります。

 


 

この本の魅力はまだまだありますが、もう一つ言うとすると、読んでいるといきなり登場する名言が実感がこもっていて大変いいなと思いました☆
 

・もう無難なものは要らない、心に響くものしか買わない

・マキシマリストとして楽しく心豊かに生きていく

・無難なものより、一目惚れアイテムを

・自分が「好き」で心地良いなら、なんでもオッケー

・レースのない人生なんて

・着物ってお城に合うな (注:フランスの)

・(良いものは良い)そこの軸がぶれなければ長く楽しめる

 

きっと、人それぞれによって注目する言葉が違いますね。

 

わたしの個人的メモの番外編はこちら

 

・この(アスファルトの)下にはハート型の石がある

・「ドレスアップ週間」

・賢島の松井眞珠店

・ブラシの平野

・バター、シュガー、レモン汁のシンプルなクレープ

・ラム酒の効いたババ・オ・ラム

・ロマン派美術館の中庭のカフェ

・モンマルトルのじゃがいものサラダ

・すいとんのようなお団子(甘じょっぱいたれをからめる)

・アンソニーが好きでした (注:『キャンディキャンディ』の)

 

ピンク色の装丁ですので、男性陣には合わないと思っていらっしゃる人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。大人には「忘れてしまった幼な心」を、子供には「好きや憧れを大切に持ち続ける」ことを、由貴さんの実体験をもとにして説得力をもって教えてくれる本だと思います。

 

「折に触れて何度も開いてみたくなる本」「長い時間が経っても、読み続けられることができる本」「若い人にも読んでほしい本」というお話を由貴さんがしていらっしゃいましたが、本当に時を越えて愛される品々とその思いが満載の本だと思いました。

 

今度、出版記念イベントもやりたいですね☆

ということで、話も進んでいますので、その節はぜひお楽しみにご参加くださいませ。

 

その前に、一家に一冊、ぜひ読んでみて下さい。

 

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【内容紹介】

 

20年越しの夢、実現!

子供の頃からかわいいものが大好きで、ずっと色んなものを集めてきました。

いつか私も、憧れのパリにあるような素敵なお店をひらきたいと夢見て…。

 

●お店づくりの具体的な工程(長年の準備〈什器収集記〉、サロン作り日記(工事着工~完成まで)

●長年収集してきたアンティーク、ヴィンテージコレクションを紹介

●フランス&パリ買付け情報

●フランス映画や愛読書 等…

オールカラーで情報盛り沢山!

フランス・パリ好きの人・必読!

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【著者紹介】

 

後藤由貴

 

甲府市生まれ。10代の頃からヴィンテージ 、アンティークに魅せられる。95年よりジュエリーデザイナーとして活躍ののち、2001年、夫とヘアサロン「La Casita」を開業。2005年、オリジナルブランド「Mimi」をスタート。2021年7月、「Mimi」とヴィンテージ 、アンティークを集めた夢のサロン『La Cachette et Mimi 』をオープン。たくさんの好きな物に囲まれ、マキシマリストとして楽しく心豊かに生きていくことが目標。可愛い物には常にアンテナを張り巡らせる日々。