第96回 2月の読書会が行われました | 春光堂書店 公式ブログ

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本日の読書会は大勢のご参加ありがとうございました。

今回はトルストイの民話。
どの話も考えさせられる物語ばかりです。

その中でも印象に残った物語で一番多かったのは、「二老人」でした。
私も含め4人もの人がこちらを選びました。

この物語は天使や悪魔は出てこなくて、
現実的な物語の展開で
現代的にそのまま理解できる二人のキャラクター、
その内の一人、今にいえばむしろ望ましいと思われる人の方が
良くないイメージで描かれることが面白かったのではないかと思います。

ここからは今日の読書会後に思ったことです。

読んでないと何が書いてるかさっぱり分からないと思いますので、興味のある人は読んで下さい。
会で話した前提は書ききれないので省略しました。

その結果、言葉足らずな所があるかと思います。すみません。
覚書です。興味ある人は続きは春光堂で話せればと思います。

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・エフィームは神様を意識しての行動が駄目なのかもしれないが、人間としての行動はしっかりしている。
神様はそれを気に入らなくても、その行動自体は尊い。
周りの人間の多くが幸せに向かう実際的な善行には
神様の評価など関係なく、人間としての価値があるのではないか。

・エフィームは無制限な欲でやっているわけではない。
家族が食べることとそれを心配しながらの蓄えに過ぎない。
これは行き当たりばったりのやり方ではない。
周りにいる皆のことを考えた
何十年にも渡るしっかりした計画の証だ。
わずか数ヶ月のお手伝いをしたエリセイと比較にならない。
むしろ、エリセイは何事にもその場しのぎのようなやり方で
見知らぬ人のお手伝いのシーン以外は自分の事しか考えていないとも思える。
旅の途中もすっかり忘れるあたりもそう思える。

・そう思うと別の民話に「三人の息子」というのがあるが、
1番目の息子(破綻する)はエリセイに見える。
2番目の息子(破綻する)は一見エフィームに見えるが、
やってることをよくみると「自分に近しい者のために善をなす」
という3番目(破綻しない)に近い。
物語の二人の人生を通して、どちらの方がより人生に向き合って
真っ当に生きる時間が多かっただろうか。
そう思うとエリセイのラストの陽に当たる神々しさは
エリセイよりに過ぎる。

・エフィームは最後の一文の気付きまで含めるとやはり良い。
今後はエフィームが救われそうな余韻を残すのは救われる。

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2時間超の会をまとめることはできませんが、
白熱した話になりました。

現代的な問題を考えるとトルストイの描く生き方は難しいものがある、
だが、その内容がとても身にしみるものでもある。
私たちはどう生きるのか。

読書会は参加者の多様な視点が得られる所は面白です。
聞けば、なるほどと頷くことばかりですが、
自分だけの読書でそこまで気づけるかというと
なかなか難しいです。

読書会の醍醐味ですね。