『ナウシカの飛行具、作ってみた』は、映画「風の谷のナウシカ」の軽快な飛行具メーヴェに触発され、実際に人が乗って飛べるものを実現したアーティストの著。10年かけて、構想、設計、製作、さらにテストを繰り返し、航空局の試験飛行許可を得た。そして、飛行場内での小飛行も成し遂げた。プロジェクト名はオープンスカイ。「開け、空!」
『液体燃料ロケットをDIYしてみた』は活動報告。著者は漫画家で最初期からのメンバーだ。他にも小説家、ジャーナリスト、イラストレーター、事業家、エンジニアらが加わりロケットを造る。本気度はネット検索で打ち上げ動画を見れば分かる。
その上で本書の醍醐味(だいごみ)は「ないものは作ってしまえ」という発想と、次々と現れるハードルを乗り越える熱。エンジンに燃料を通す前の「水流し試験」ではタンクに水を充填(じゅうてん)することにすら苦労し、初期の作業場だった自宅を水浸しにした。ロケット開発にはつきものの燃焼試験の失敗(爆発)も経験し、歴史を追体験しつつ実用ロケットへの道を進む。
両著に共通するポジティヴに空を見上げる心は、時代の閉塞(へいそく)感と無縁だ。開けた青空(オープンスカイ!)を上昇するロケットの姿を思い描く。
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本日紹介する本は、『ナウシカの飛行具、作ってみた』と『液体燃料ロケットをDIYしてみた』の2冊です。どちらも空に向かって羽ばたく物を作成した本であり、漫画家のあさりよしとお氏は両者に共通した著者であります。
空に対する夢を、実際にやってみるその姿勢に感動を覚えますね!書評中に、「なぜ?という問いに著者は「いつか現れるナウシカのため」と答える。」という文言がありますが、一見すると一笑に付されてしまうような夢でも、実現してしまえばものすごいんだぞ!という気概を感じます。ぜひ!
ナウシカの飛行具、作ってみた [著]八谷和彦、猪谷千香、あさりよしとお/液体燃料ロケットをDIYしてみた [著]あさりよしとお
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013111700008.html
