匠たちの名旅館 | 春光堂書店 公式ブログ

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【匠たちの名旅館】
 日本にこんな宿が残っているということ自体が、一種の奇跡と思えてきた。建築デザイン上の共通点も列挙できる。天井の低さ、柱の細さ、屋根の薄さ、木材の吟味が、美しさに直結している。しかしそれ以上に、建主(施主)と建築家(あるいは棟梁〈とうりょう〉)との間の信頼関係が奇跡を生んだことを知った。筆者は、当事者から、信頼の核心を聞き出すことに成功した。インタビューという形をとらず、多くの場合、宿泊客とおかみ、という関係が会話をなめらかにし、施主と建築家との関係の「質感」が伝わってくる。すぐれた宿には、人と人との特別な信頼関係がある様子に、感動すら覚えた。エピソードの中から、何本もの映画やドラマがすぐにでも製作できそうである。
 信頼とは、一方的なものではなく、お互いに刺激しあい、育てあう人間関係なのだということも教えられた。その相互作用の結果が、空間の豊かさ、サービスの充実という形に結実するのである。
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 今日紹介する書評は、日本の古きよき旅館の姿を追った本です。本書は、ただ単に旅館を紹介するのではなく、その建物の持ち主である旅館と建築家との関係に着目した本なんだそうです。
 おもてなしされる側として旅館を見ることは多いですが、建て主と棟梁の関係に注目した本書は、資料としての価値も高そうですね!
 文化に興味のある方、サービス業に従事される方などにお勧めですよ。

匠たちの名旅館 [著]稲葉なおと
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013110300015.html

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