乗れば開く「非日常への扉」
公共の乗り物でありながら、徒歩のような気安さを感じさせるバス。電車に乗るよりも敷居は低いが、確実に私たちを運んでくれるバス。通常、人は生活圏の範囲内で必要に応じてバスを利用する。だが平田はときに、いやかなり頻繁に、あえて日常を脱線するためバスに乗るようだ。
たとえば、目的地とはまったく別方向行きのバスが停(と)まっていても、扉が開くとふらふらと吸い込まれてしまう。「お酒の好きな人が赤ちょうちんの前を素通りできないのに似ている」。とくに好きなのは人の出入り。空のバスに乗客が満たされ、やがていなくなる。「何て寂しく、同時に安らぐ光景だろう」と。
上記の書評で書かれているようにバスには不思議な魅力がありますよね。たまたま停留所に止まっているバスを見かけて、このまま乗って行ってしまおうかと思ったことがある人は私だけじゃないはずです。日常である自分の周囲から非日常へ連れて行ってくれるバスは、日常と非日常が地続きであることを教えてくれる一番身近な存在なのかもしれませんね。
スバらしきバス [著]平田俊子
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013090800011.html
