毎回の施術で唇フィラーの痛みに関してよく質問されます。
院長先生、唇フィラーをする時、すごく痛いですか?
注射で刺す施術が痛くないわけがありませんよね?
唇も同じです。
さらに唇の粘膜は非常に敏感です。
しかし、美容施術を行う医師たちは基本的に患者の痛みを最小限に抑えるため、解剖学的な根拠に基づいて施術を行っています。
少し退屈な話かもしれませんが、唇の神経ネットワークについてお話ししましょう。
唇の感覚神経は上唇と下唇がそれぞれ異なる場所から始まります。
上唇はinfraorbital nerve(眼窩下神経)の支配を受け、下唇はmental nerve(顎神経)の支配を受けます。
この解剖学的な理由で、上唇の感覚と下唇の感覚は同じ人でも異なって現れる可能性があるということです!
例えば、「フィラーを打った時、上唇は痛くなかったけど、下唇は痛かった!」
その理由:上唇と下唇の神経は異なります。
上唇は眼窩下神経の支配を受け、下唇は顎神経の支配を受けます。
唇の大きな神経の幹は眼窩下神経と顎神経です。
しかし、唇の粘膜内部にさらに詳しく入ってみましょう。
唇は最も表層にある粘膜組織とその下にある粘膜下組織、さらに深層にある筋肉層で構成されています。
通常、大きな神経は筋肉層を通ります。
そして、浅い層ほど細い神経が通っており、
これは唇の血管の走行分布にも似ています。
唇の大きな血管は筋肉層を通って深い層に位置しているので、あざがたくさんできるところに注射針を入れると、ほかのところより痛みが強くなります。
そのため、医師たちはフィラーを注入する際、できるだけ浅い層に注入しようとします。もちろん、粘膜が透けない範囲に浅い層に注入することが重要です。浅い層に注入することであざを防ぎ、施術中の患者の痛みも最小限に抑えることができます。
唇フィラーの痛みの要点をまとめてみましょう。
注射針の深さが患者の痛みの最も重要な変数です。
この内容が、医師が施術する際に痛みを軽減する最も効果的な施術方法です。
そして、以下の点も重要です。
1. できるだけ細い注射針を使用すること
2. 注入時のフィラー量は少量が良い
3. 注射針を通してフィラーを注入する時間は非常に短くすること
4. 注射針が唇の粘膜に注入される際、針の振動や震え現象がないこと
5. フィラーの種類も重要です(リドカイン麻酔剤が含まれているフィラー)
6. 麻酔の種類も重要です(皮膚麻酔クリーム塗布 vs 神経麻酔)
これらの5つの条件がある程度満たされていれば、唇フィラーの施術時の痛みはほぼないと言えるでしょう。
結局のところ、唇フィラーの痛みは医師の施術技術に大きく影響されます。
もちろん、先天的に唇の粘膜の感覚神経が非常に敏感な方々を除いては。
私の場合、30ゲージ針を使用し、注射針を通してフィラーを最小量で連続的に速く何度も刺しながら施術を行います。
もちろん、施術前の麻酔の役割も非常に重要です。
痛みに対する恐怖が非常に強い方には、プロポフォール睡眠麻酔を行うこともありますが、私は睡眠麻酔は積極的に勧めていません。睡眠麻酔では横になって施術を進める必要があり、唇施術ではこれは禁忌です。実際には形を見ながらフィラーを注入する必要があるため、この時に最も良い姿勢は座っている姿勢です。
最も多く行うのは皮膚クリーム麻酔です。
唇フィラーで最も一般的に使用される麻酔方法です。10~20分間の麻酔で唇の表皮麻酔が可能です。
神経麻酔も時々使用されます。この2部位に麻酔を施すと、上唇と下唇に麻痺感が現れます。それを利用するのです。しかし、この部位の麻酔が入ると、顔全体が麻痺し、6~8時間程度非常に不快感があります。この麻酔方法の最大の欠点は、麻酔の確率が高くないという点です。顔が麻痺するだけで、実際に唇の部分が麻酔されない場合も多いです。成功確率がやや低い麻酔方法です。当院では患者様が希望する方のみ行い、ルーチンとしては行っていません。
実際、医師ごとに唇施術のテクニック方法は非常に異なります。
これは正しいか間違っているかの問題ではなく、「それぞれが違う」という問題です。
この違いのために唇施術時の痛みは非常に変動的で、ひとつの方法でまとめることはできません。
唇施術の痛みは医師の経験に非常に比例します。