拾って金網の向こうへ放り投げました。康子が金網越しに信彦の
方へ近寄ってきて、すみませーん、とお礼を言いました。
信彦はなにせ時間を持て余しているので、雨の日以外はテニスコート
に通いました。
信彦が1月くらいテニスの見学を続けるのであるよく晴れた日の朝
康子がまた、信彦の所へやってきて声をかけた。
「いっぺん、テニスしてみますか?」
「できたら誰か知り合いを探してきてください、ダブルスができますから」
「はい、やってみようかな」「テニスシューズとラケットは用意して」
と康子が誘った。
家に帰った信彦は楽しそうだった。妻の佳子に「お父さん、どっか
具合でも悪いの」と言われてしまった。