Springの数少ない男性メンバーの一人である、金田と申します。
Springでは調査・研究チームに属しており、現在、性被害者のインタビューデータの分析をしています。
いまは会社員をしてますが、かつて社会学の研究者をしていたことがあり、
性的マイノリティに関する研究を行っていました。
今は、そのころの経験を分析に活かしています。
ところで、みなさんは「異性愛主義」という概念をご存知ですか?
これは、性的マイノリティに関する研究領域で使われている概念です。
人間の性愛は、一見「自然」で「本能的」なものに見えますが、
実は社会的な規範の影響を強く受けています。
とりわけ「異性愛」は、社会的な規範の影響をとくに強く受けている性愛といえます。
この異性愛に関する社会的規範を、異性愛規範と呼びます
(そして、異性愛こそが「当たり前」「自然」「普通」と見なされるようになります)。
この異性愛規範がジェンダー規範と固く結びつき、
異性愛規範のもとで「男らしさ」「女らしさ」を強化していくとき、
これを「異性愛主義」と呼ぶのです。
異性愛規範とジェンダー規範が結びつくことで、たとえば
「男性は女性と付き合って・結婚して一人前」
「女性の幸せは男性と結婚して子どもを生むこと」といった観念が生まれます。
そして「男性の価値は何人の女性とセックスしたかで決まる」
「男性は女性を見ると欲情するのが当然」といった観念も…。
セクハラや性暴力などの背景には、異性愛主義も潜んでいるのです。
「異性愛主義」を英語で表すとhetero-sexism(ヘテロセクシズム)となります。
これは、異性愛主義は単に異性愛規範を含むだけでなく、
性差別(sexism)も含んでいることを意味しています。
この社会の異性愛主義を問いただすことは、
性的マイノリティにとって過ごしやすい社会をつくることにつながるだけではなく、
性差別を克服するうえでも、そして性暴力のない社会を目指すうえでも重要なことなのです。
さて、異性愛主義の問いただしは社会意識に関することですが、
Springの活動は刑法改正という社会制度の改善に関するものです。
この二つはどのように関わるのでしょうか。
私にとって社会意識と社会制度は、社会的課題の解決にとって、ともに重要な要素です。
社会意識は固定的なものではなく、変化するものです。
そして、社会制度が変更されることで、社会意識に変化が生じることもあるのです。
Springの活動によって、性犯罪刑法における暴行・脅迫要件や
性交同意年齢などの見直し・改正が成し遂げられた場合、
異性間の性関係に対する社会意識にも当然影響がおよび、
そのことは異性愛主義の見直しにもつながるのではないかと、
密かに期待しています。
このような社会制度・社会意識の変化を目指して、
これからもSpringの仲間とともに活動していきたいと思っています。
▼お問い合わせ先:一般社団法人Spring事務局
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