私は、名もなき働き人のひとりである。 

賃貸にひとり暮らし、独身、アラフォー、決して多くない給与。 

 

だが、充実している、まぁなんとかなると思っている。 

時々、体調が悪いときや職場のパワハラ上司に怒鳴られたときは、本当は、明日が見えなくて不安で一杯の自分に闇に引きずり込まれそうになったりする。

 

私は、縁あってSpringに参加させていただいて、お金などの面を支える役目を担わさせていただいている。 

 

少しでも一緒に活動する仲間が、活動しやすいように、お金の面から支え続けるのが役目だと考えている。 

お金を見ていると、様々な寄付に、助成金に、毎月いただく会員費に、みなさまの温かい想いが託されていることがわかる。 

 

(皇居から見える都心)

 

私には、胸に刻む言葉がある。 

「わたしは、ふつうに恋愛して、結婚したいの」

 私とその人が、その人の今後の生活の見通しについて、他愛なくお喋りしていた時だ。 

私がその人に、この先どのようなことがしたいか聞いたときだった。 

私は、具体的な生活再建に向けた言葉が返ってくると思っていた。 

 

その返ってきた言葉が発せられた心を思ったとき、その人の心の渇望を感じた。 

私は、少しだけ、その人に過去、どのようなことがあったか知っていた。 

なんの変哲もない日常のすきまにぽっかりとひらいていた暗闇に追い込まれ、力一杯もがいても、もがいても戻れない。

道行く人は、その暗闇の前を何も気づかず通りすぎ、その人がいくら叫んでも届かない。 

その人は、そこにいたのだ。 

そして、今も、そこにいるかもしれないのだ。 

 

愕然とした。返す言葉がなかった。 

わからなかった、知らなかった。 

でも、わかったとしても、知ったとしても、 私が、本当のあなたの痛みを体験することはできないだろう。 

 

私は、名もなき働き人のひとりである。 

都心の高層ビルから見える空は真っ青で、下界で何がおきていても、暴風雨が吹き荒れていてもわからない。 

日常の隙間にぽっかりとひらいている暗闇を想像することもできない。 

 

私は、想う。今もそこにいるかもしれない、あなたを。

わたしは、ここにいます。